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TPP問題、FTAやEPA、世界大恐慌……。あの辛口エコノミストが「世界経済のこれから」を本気で語った、渾身の意欲作! 浜矩子 著

「通商」を巡る壮大な歴史ドラマからグローバル経済の現在と未来を明らかにする。

世界経済の正体を、浜矩子が「通商」で読み解く!

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本書のタイトルは『誰も書かなかった世界経済の真実』である。実はこのタイトルを巡って紆余曲折があったのだ。本の出版では、どんなタイトルにするか、について著者と出版社が相談して決めるのが通例である。その場面で今回は考えさせられた。

本書では、「通商」というテーマを軸にグローバル経済の今とこれからを考えようとしている。そのために、通商を巡るこれまでの歴史を振りかえり、その中から今日の我々が明日に向かってどのようなメッセージを読み取るべきかを吟味しようと試みている。いわば通商づくしの本である。したがって、筆者としては本のタイトルにおいても通商の二文字が前面に出るのが当然だと考えた。

ところが、出版社としてはそれではダメなのだそうである。通商という言葉は読者に馴染みが薄い。わかりにくい。したがって、この二文字ばかりが表紙に踊っていると、本が売れにくい。売りにくい。そういうことだそうである。

なぜ、通商は人々に馴染みが薄いのか。いつからそうなったのか。ちなみに、通商が取っ付きにくい一方で、「通貨」ならいくらでもタイトルになるのだという。これがまた、実に面白い。通商は言い換えれば貿易だ。つまりは、基本的にモノの世界の話である。それに対して、通貨の世界はカネの世界だ。モノの世界よりも、カネの世界の方が人々にとって身近になっている。つまりは、そういうことなのだろうか。

日本はモノづくり大国だという。モノの輸出によって、今日までの成長物語が主導されてきたのだと多くの人々が考えている。今もその物語が続いていると思われる方々も極めて多い。そうなのであれば、モノと日本は表裏一体だということになるはずだ。それなのに、モノの取り引きを意味する通商という言葉よりも、カネのやり取りに関わる「通貨」という言葉の方が、今や人々の関心を強く引き寄せるらしい。この変化をどう受け止めたらいいのか。ひょっとすると、この問題自体が本書のテーマの核心部分に直結しているのかもしれない。そのようにも思える。いずれにせよ、いつの間にやら、通商の世界と我々の日常は縁遠くなっているらしいのである。

書名:誰も書かなかった 世界経済の真実
著者:浜矩子
発売日:2012年8月28日
定価:1000円(税込)

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