文豪といえば聞こえはいいが、東京下町の街娼を愛し、浅草のストリッパーたちに愛された作家、永井荷風は膨大な日記を残した。その中から、岩波書店版全集は3000ページに日記を収めた。さらに文庫版2冊にまとめたのが本書である。 彼の日常生活が包み隠さず記録されている。交際した女性、出入りした編集者・作家、食べたもの、入った店、収入などなど。公開されるのを前提とした日記だったから、当然、作家は書きたくないことは書いていないと思われるが、よくぞここまでと思われることまで書いてある。 上下2冊だが、読み応えがあるのは、やはり壮年期を収めた上の方だろう。麻布の自宅から銀座に出撃、ときに下町に繰り出す。判を押したような日常だが、漢語を多用した文体が心地よい。 仕事に行き詰ったり、人間関係に悩んだりしたときに、本書を読むと、「人生なんとかなる」と元気が出てくる。評者はそんな「ビタミン本」として、枕元に置いている。(BOOKウオッチ編集部JW)
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