よく褒め言葉として使われる「エレガンス」。気品ある振る舞いや言葉遣い。あるいは上質なものを使い、身に着けること......など、さまざまな意味で使われるこの言葉は、具体的にはどのようなことを指しているのだろうか。
2023年9月20日に発売されたクオリティライフ誌『&Premium』11月号の特集は、「エレガンス、であること。」。「エレガンス」の定義や使われ方を、言葉や人物、暮らしからひも解いている。
たとえば、作家・田辺聖子さんの小説『九時まで待って』(集英社)からは、次のような一文が紹介されている。
──天衣無縫というのんかなあ、ノビノビしてるのんか、それはエレガント、いうことですよ。
いつもぼんやりとした主人公の〈ヌーとした〉話し方を、バーで出会った物腰の柔らかい謎の中年男・尾瀬が褒めたシーンの一言。尾瀬の言葉から浮かび上がる主人公の人となりは、「可愛げ」 と 「やわらぎ」を大切にしたという田辺さん自身の姿と重なるものとされる。
エレガントとは、ここでは「天衣無縫」と「ノビノビ」の間にあるものを指しているように見える。つまり、「天衣無縫」と断言するには可愛げがありすぎるが、「ノビノビ」と形容するほどだらしなくはない。ちょうど良い余裕の持ち方こそエレガントなのだ。
一方、コラムニストのジェーン・スーさんは、いきものがかりの水野良樹さんと「品とは何か」を語った対談で、エレガンスに近い言葉である「品」について、次のように語っている。
年を重ねていくにつれて、「矜持」っていう言葉と「品」が近くなってきたなっていうのもあるんですよ。だから、下品なところをちゃんと自分で見て、受け止めてから、品を考える。
年を重ねるにつれて「矜持」と「品」が近くなった、とはどういうことか。これは、年齢とともに「品」の意味が変わったことを意味するとされる。
若い頃、ジェーン・スーさんにとって「品」とは、世間的に良いとされる行動やマナーを指し、それは自分なりの「矜持」と衝突するものだった。ところが、大人になった今では、生きていれば誰にでも生じる「品」のない部分を認めた上で、自分なりの「品」を考えていくようになったのだという。
このほか特集では、映画、本、音楽などのカルチャーから学ぶエレガンス、香り、器、スワトウ刺繍のハンカチなどエレガンスを感じられる8つの嗜み、スタイリスト・井伊百合子さんが選んだファッションアイテムなども紹介。さらに、イギリスのクロージングデザイナー、マーガレット・ハウエルさんへロンドンで取材した記事も掲載されている。
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