ママ友がいない私がPTAに。うまくやっていくヒントをください【お悩み解決BOOKコンシェルジュ 3】

2023/7/ 1

聞く習慣

　初めてのPTAが不安。何かいい本、ありますか？

　連載「お悩み解決BOOKコンシェルジュ」では、東京・神保町にある「BOOK HOTEL神保町」で人気の選書サービス「ブックカウンセリング」をおこなっているスタッフが、BOOKウォッチ読者から寄せられるさまざまな相談に、本を通して応えてくれます。今回のお悩みはこちら。

【今回のお悩み】

　小学4年生の息子がいます。
　この春、初めてPTA委員になりました。もともとママ友はほとんどおらず、これまで息子の同期生の保護者ともあいさつ程度で、話したことはありませんでした。
　PTAのメンバーは一見、気さくそうな人が多いのですが、どんな距離感で接するのが正解なのか悩んでいます。
（40代女性）

　新学期から3か月が経って、「この雰囲気で、1年間うまくいくのかな......」と不安に思っているお母さんも多いのでは。人間関係、どうすれば？　3人のスタッフが答えてくれました。

「聞いて」仲良くなる方法

『聞く習慣～自分と人生が変わるいちばん大切な会話力』
いしかわゆき　著

▼概要
　インタビューライターのいしかわゆきさんが、どう人の話を「聞いている」のかをまとめている本です。いしかわさん自身、もともと人の話を聞くことが苦手だったそうですが、相手の話を聞く力を身につけることで、誰とでも会話できるようになったとのこと。文章もとてもゆるふわで読みやすく、実践しやすい方法が詰まっています。

▼選書理由
　人との距離感を掴むのって難しいですよね。パーソナルな身の上話をしたら仲良くなるとも限らないし、とはいえ何を話したらいいのかわからない......。そんな時は相手の話を引き出してみることから始めるのはどうでしょうか？　この本は相手の話を「聞く」ことで、たわいのない会話が楽になる方法が詰まっています。相手の話を聞いてみて、自分との距離感を測ってみる。まずは相手を知ることから始めると、自分をうまく守りながら関係性を作る近道になるかもしれません。

（選書スタッフ：外村）

BOOKウォッチの紹介はこちら→＜元コミュ障ライターが書いた　「興味を持てない相手」ともうまく話せる会話術＞

「禅」がヒントになるかも？

『近すぎず、遠すぎず。』
枡野俊明　著

▼概要
　人との距離の取り方について、「禅」と呼ばれる仏教思想をもとに書かれている本です。著者の枡野俊明さんは禅僧で、日本庭園を作るときに必要な空間の調和を保つ方法から、人との距離感を考えています。現代に生きる私たちが持つ、人間関係にまつわる悩みへの答えがまとめられています。

▼選書理由
　今まであいさつしかしてこなかった間柄のような、少し知っている人と改めて話すのは確かにとても緊張してしまうと思います。距離感を意識し過ぎて、肝心な会話がおぼつかなくなってしまうなんてこともあるかもしれません。そんなときは、一度「禅」という新たな視点から、距離感について考えてみてはいかがでしょうか。項目別に具体的に書かれているので実践しやすく、時間がない時でもぱっと読むことができます。ほかのPTAメンバーの方々との距離感が近すぎるのか、遠すぎるのか、と分からなくなってしまった時、役に立つかもしれない一冊です。

（選書スタッフ：深谷）

そこは魔界！？　先輩の体験談

『政治学者、PTA会長になる』
岡田憲治　著

▼概要
　うっかり踏み込んだ先は「魔界」だった......。東京都内で人口93万人の特別区の東の端、住宅街ばかりのエリアの小学校で「PTA会長」になってしまった著者。政治学者というフィルターを通してみる「自治」とは？　就任した3年間で起こった出来事を描いた一冊。

▼選書理由
　せっかくなら、さまざまな不安や人間関係のわずらわしさ、活動内容のわからなさも含めて、好奇心で乗り切ってみるのはいかがでしょうか？　読書で「PTAの在り方」という根本的なところを押さえつつ、メンバーは「ママ友」というより、ともに戦う仲間だと認識してみるのもアリかもしれません。本書は、うっかりPTAの会長になってしまった政治学者である著者が、未知の世界に怯えつつ、失敗しながらも成長していくお話です。こんな本、ふだんなかなか手に取らないですよね（笑）。著者のユーモアセンスが素晴らしく、すらすらと読めてしまいます。
　組織ってだいたい、特技や個性で役割が決まってきますよね。様々なケースを予習しながら、グループでの自分の役割を察し、あとはそのキャラクターに甘んじつつ気楽に取り組むことができれば、力も抜けてコミュニケーションが取りやすくなるかもしれません。

（選書スタッフ：木村）