2022年8月8日に増刷された『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』(フィルムアート社)が、人気漫画『チェンソーマン』第2部のあるエピソードの元ネタなのではないかと推測されて話題になっている。
本書は、「ブレイク・スナイダー・ビート・シート」「10のジャンル」「ログライン」などの画期的な創作論を確立し、物語創作の世界的ベストセラーとなった超実践的映画脚本マニュアル。2010年に邦訳が出版されて以降、読み継がれて今回の増刷で15刷となった。
そんな名著が再注目されているのは、2022年8月17日に更新された『チェンソーマン』102話に、本書を想起させる「セーブ ザ キャット」の題名がつけられていたからだ。
本書との関連が明言されたわけではないが、『チェンソーマン』作者の藤本タツキさんが以前から映画好きで知られていることから、ネット上では「『SAVE THE CATの法則』を意識しているのでは......」と推測する声が多い。
ハリウッド流脚本術の大家として知られる著者が確立したメソッドの中で、最も評価が高いのが「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)」という物語構成用のテンプレートだ。これは、それまでに観た映画や読んだ脚本術の本を参考に、スナイダーさんが独自に作ったもの。
有名な脚本術に、ストーリーを3分割する「三幕構成」がある。しかし、スナイダーさんは「三幕構成だけじゃ充分じゃなかった」「幕と幕の間が広すぎて、途中で迷ってパニックに陥り溺れてしまうのだ」としている。「BS2」は「三幕構成」をさらに発展させ、物語の構成を15のビートに分解する。
具体的な構成は以下のとおり。
■ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)
脚本のタイトル:
ジャンル:
日付:
1 オープニング・イメージ (1):
2 テーマの提示 (5):
3 セットアップ (1~10):
4 きっかけ (12):
5 悩みのとき (12~25):
6 第一ターニング・ポイント (25):
7 サブプロット (30):
8 お楽しみ (30~55):
9 ミッド・ポイント (55):
10 迫り来る悪い奴ら (55~75):
11 すべてを失って (75):
12 心の暗闇 (75~85):
13 第二ターニング・ポイント (85):
14 フィナーレ (85~110):
15 ファイナル・イメージ (110):
カッコ内の数字は、ビートが起こるページ数を示している(脚本の総ページ数を110枚とした場合)。スナイダーさんは「アイデアを売りにミーティングに出かけるときは、事前にこの真っ白なシートを埋める。空欄が全部埋まるまでは、絶対に行かないと決めている」という。
映画脚本家志望者はもちろん、小説、漫画、アニメ、TPRG、ゲームなどあらゆるジャンルの物語創作者におすすめの1冊。本書を読んでから藤本タツキ作品を読んだら、これまでとはまた違った楽しみ方ができるかも。
■ブレイク・スナイダーさんプロフィール
"ハリウッドで最も成功した競売向け脚本家の一人"である。彼が大手映画会社に売った脚本のうち2本は200万ドルの値がつき、そのうちの1本はスティーヴン・スピルバーグが購入した。すでに2本が映画化されている。
業界を知り尽くしたスナイダーならではの、明快で核心をついた脚本メソッドを集成した本書『Save the Cat! The Last Book on Screenwriting You'll Ever Need』は、オンライン書店、米国アマゾンの脚本術部門で第1位を維持し、多くの読者の支持を受けている。
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