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足は臓器。人生100年の下り階段を歩き続けよう!

 2019年7月30日に厚生労働省が発表した日本の平均寿命は、女性87歳、男性81歳(調査実施は2018年)。男女ともに過去再高齢を更新した。超高齢化社会を裏付けるデータである。そんな長生きな一生を考えると、だれもが願うことは「元気にいたい」ではないだろうか。

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写真は、『死ぬまで歩きたい! 人生100年時代と足病医学』(久道勝也著/大和書房)

 本書『死ぬまで歩きたい! 人生100年時代と足病医学』(久道勝也著/大和書房)の冒頭に、「「人生100年時代」の下り階段」という見出しが出てくる。なんとなく、どういう事かが想像できるわかりやすい見出し。そして、読めばすぐ、他人事でなく、自分の将来のことだと実感する。

 人間が死に向かう3つのステップがあるそうだ。まず1つめは「歩行が困難になる」、2つ目は「排泄が困難になる」、3つ目は「食べられなくなる」のだという。まさに、人生の下り階段。
 本書は、足をケアして、歩くことで健康寿命の維持を呼びかけているのだ。つまり、死に向かう3つのステップの1つ目を遅らせようという試み。

 著者の久道勝也さんは、下北沢病院の理事長で医師。ロート製薬の最高医学責任者でもある。久道さんは、アジアで唯一の「足病総合病院」を作って、「足のみ」を診る専門医療にまい進している。「足を一つの臓器ととらえ、足と歩行に関するすべてを」診ているそうだ。幸せな後半人生の50年を楽しむには、歩行による体力維持と脳の活性化が不可欠だという。

 本書には、歩き続けるためのモチベーションの整え方や、日常のセルフケア、靴とのフィッティングの重要性、セカンドライフの自分のストーリー作りなど、実践的なさまざまなコツが紹介されている。詳しくは本書にまかせたいが、足底筋のストレッチなど、図解されていてわかりやすい。

 なお、本書には、印象に残る言葉がいくつか出てくる。その中の一つが「肉体的自律」。久道さんが医師として臨床現場で患者さんと交わしたリアルな会話を終えた場面で出てくる。
 「自分で(自分のことを)何でもしようと思っても、もうできない」と語った患者さんのエピソード。誰しも、「肉体的自律」が保てなくなる時は来る。

 久道さんによれば、「歩行を維持することが、人生の幸せを決める」という。本書を読むと、積極的に歩こうという気持ちになる。

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