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村上春樹さん「文藝春秋」寄稿が大きな反響

 先月(2019年5月)発売の月刊誌「文藝春秋」6月号に掲載された村上春樹さんの特別寄稿「猫を棄てる――父親について語るときに僕の語ること」が大きな反響を呼んでいる。6日(2019年6月)の朝日新聞朝刊「文化・文芸」面は、日本文学者・翻訳家のマイケル・エメリックさん(カリフォルニア大学ロサンゼルス校准教授、早稲田大学准教授)の「村上春樹 個人史を超えて」と題した寄稿を掲載した。

 村上さんが家族について詳述した文章を公表したのは初めてだ。この寄稿は上下2段組みで計28ページ。長年不仲だった父の生涯をたどっている。出征先の中国で捕虜の殺害に加わった可能性があったことに言及している。

 共同通信は5月10日にいち早く、「村上さん、初めて家族詳述 父の戦争体験を月刊誌に」という記事を配信。「父の心に長いあいだ重くのしかかってきたものを――現代の用語を借りればトラウマを――息子である僕が部分的に継承した」という記述に注目している。

 朝日新聞に寄せたマイケル・エメリックさんの寄稿では、村上さんの最新の長編小説『騎士団長殺し』に登場する日本画家の戦争体験が「村上氏の語る父親の人生とずれながら重なっている」とし、さらにデビュー作『風の歌を聴け』からも「中国と、対中戦争への関心が窺える」とみる。

 さらに「現代アメリカ文学に触発された軽快な翻訳調文体の奥には、残虐な歴史を見据える鋭敏な感性が存在している」と分析している。

 『騎士団長殺し』の文庫判(新潮文庫)は2月から刊行が始まった。「文藝春秋」寄稿と照らし合わせながら読む人が増えそうだ。

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「文藝春秋」6月号

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