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「妻とは別れる」と言っていたのに子どもが増えていく 衝撃の不倫小説

  • 書名 『さよならジュード』
  • 監修・編集・著者名SAKURA
  • 出版社名幻冬舎

いけないことだとわかっているのに既婚者に惹かれてしまう。
既婚者なのに、パートナー以外の誰かに恋をしてしまう。

結婚制度は強力だが、制度で人の感情まで縛れるわけではない。不倫が原因で仕事を失ったり、慰謝料その他で大金を失ったりと、不倫の怖さを示すエピソードには事欠かない昨今であっても、不倫はけっしてなくならないのだろう。

■「離婚して一緒に」と言っていたはずが...

「惚れた弱み」という言葉があるように、恋愛関係では惚れたと惚れられた側で立場に微妙な上下がついてしまうことがある。不倫関係も同様。大変なのは「既婚者に惚れてしまった側」だ。

『さよならジュード』(SAKURA著、幻冬舎刊)は既婚者であるイギリス人との不倫関係の始まりから終わりまでをつぶさに描いた物語。あまりに赤裸々で生々しい描写に目を背けたくなるのだが、続きの展開も気になる、不思議な作品だ。

シングルマザーとして9歳の子どもを育てていた「私」は、子ども同士の交流を通じて、友人の一人の父親だったジュードと知り合う。ジュードは日本で暮らして12年目になる国際弁護士。妻との間に3人の子どもがいたが、浮気を繰り返す妻に愛想を尽かし、愛情を失っていた。そんなジュードに「私」はのめり込んでいく。

「離婚して一緒になりたい」
そんなジュードの言葉を信じて、仕事で多忙をきわめる彼の都合に極力合わせる形で交際が進んでいく。私はたしかな幸福感を抱いていたのだが、相手から連絡がないことに不安をおぼえたり、LINEのやりとりでのちょっとした一言傷ついたり、徐々に精神的に不安定になっていく。その意味では、「私」は恋愛の上下関係の「下」である。

かすかにひっかかりを覚えるできごともあった。妻に対して愛情を感じていないようだったジュードだったが、付き合い始めて少し経ったある時、実は妻が妊娠中であることを告げられた。4人目の子どもである。

「私」は徐々にジュードが信じられなくなっていく。あろうことか「5人目」を計画していると知った「私」はついに、ひそかに避妊をやめ、ジュードの子どもを身ごもることを決意。やがて妊娠した「私」だったが、そのことを告げてもジュードが喜ぶはずもない。慌てふためき、「それが二人のため」という理屈で強硬に中絶を勧めるジュードに「私」はさらなる不信感を募らせる。出産を頑として譲らない「私」に、ジュードは驚愕の行動に出る......。

不倫で苦しむ人に対して「さっさと別れればいい」と口で言うのは簡単。本人もわかっているが、それができないからこそ苦しいのである。そして独身者と交際する既婚者は、身勝手にならざるをえない。どんなに優しかろうと、気遣いができようと、家庭を捨てていない以上、身勝手であることから逃れられる既婚者は存在しない。その身勝手さに相手は傷ついていく。

不倫は未来のない不毛な恋と言われる。報われることが期待できない恋はつらいが、だからこその輝きも、おそらくあるのだろう。不倫の恋の蜜の味も、その何倍もある苦味も、両方を堪能できる一冊だ。

(新刊JP編集部)

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