アスリートに常につきまとうのがケガや故障である。特定の筋肉を酷使すれば、当然その箇所には負担がかかり、張りや痛みが出やすい。深刻なケガになったり、痛みが慢性化する前に、いかに体をケアするかは、スポーツをする全ての人にとっての課題。それをいかに防ぎ、痛みを軽減するかがスポーツトレーナーと呼ばれる仕事の腕の見せ所である。
『目指せスポーツトレーナー! SUZURAN式SPORTS MASSAGE』(田渕直人著、幻冬舎刊)は、全国25カ所に展開する「すずらん鍼灸接骨院」で、延べ4万人以上のアスリートに施術を行なってきた田渕直人さんが、スポーツマッサージの手技を解説していく。
通常の整体で行われるマッサージと、アスリート向けのスポーツマッサージは、手法も目的も明確に異なる。
リラクゼーションを目的として行われることが多い通常のマッサージとは違い、スポーツマッサージは競技によって痛みやすい部分や、疲労しやすい箇所に対してマッサージを行い、アスリートのパフォーマンスの向上を目的としている。
田渕さんによると、スポーツで激しい動作を繰り返していると。筋肉が過度に緊張し。筋肉同士が癒着しているような状態になるため、スポーツマッサージでは体の構造を熟知したうえで、「筋肉をはがす」「筋肉をずらす」「筋肉を持ち上げる」などの動作を意識する必要があるという。
手法についても、通常のマッサージが筋肉の表層部にアプローチし、「気持ちよさ」を重視するのに対して、スポーツマッサージはより筋肉の深層部にアプローチして、硬くなり、血流が悪くなった「こり」を取り除く方法がとられる。
ただ、これは素人がいきなりできるものではない。本書では、アスリートや日常的にスポーツをしている人だけでなく、スポーツトレーナーを目指す人に向けて、施術をするために必要な知識や技術、トレーニング方法を明かしているが、スポーツマッサージの施術には、複数の手技を対象の状態に合わせて使い分ける必要があるという。
・さする(軽擦法)
軽い力でさすることで筋肉の表面をリラックスさせる手法。手のひら全体を施術部位に密着させ、上半身の力を利用して軽く面圧をかける。
・揉む(揉捏法)
親指や指の付け根、手根を使って揉む手法。手指で 筋肉を押し込んでつまんだり、搾るようにして刺激を与えたりするのが特徴。
・押す(圧迫法)
手指を治療する部位に押し当てることで、身体の深部 まで圧力を加えていく手法。各部位に圧を加えることで筋組織 にアプローチし、痛みや筋疲労、凝りなどを緩和させる。拇指や四指、手根など、状況に応じて使い分ける。
・叩く(叩打法)
左右の手指を使って身体の表面を交互に、リズミカルに叩く。適度な強さで叩くことによって、神経や筋 を刺激し、筋肉の興奮による血行促進を実現する。
◇
スポーツトレーナーを目指す人向けに書かれた本書。その道を極めようという人は、アスリートのパフォーマンスの向上とケガの防止のために参考にしてみてはいかがだろう。
(新刊JP編集部)
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