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「トランプが勝つ」米大統領選を左右する「見えない支持者」とは?

  • 書名 『隠れトランプのアメリカ コロナ感染から奇跡のカムバックでトランプが勝つ⁉』
  • 監修・編集・著者名横江公美
  • 出版社名扶桑社

11月3日に迫ったアメリカ大統領選挙。
日本でも関心は高く、「バイデン氏が世論調査で優勢」「現職のトランプ大統領が巻き返し」など多くの報道がなされるが、どちらかが圧倒的に優勢といえる状況ではなく、勝者を予想するのは難しい。

新型コロナウイルス対策での失政が指摘され、ここまで劣勢と言われるトランプ氏だが、2016年の大統領選挙で、大方の予想を覆して勝利した過去がある。また、アメリカ大統領選挙のシステム上、バイデン氏優勢と言われる現状が得票率に反映されたとしても、トランプ氏が勝利することは可能だ。

■「トランプ勝利」を揺るがす2つの不確定要素

なかなかに見通しがつけにくい選挙戦だが、アメリカの国内事情に詳しい元ヘリテージ財団上席研究員の横江公美氏による『隠れトランプのアメリカ コロナ感染から奇跡のカムバックでトランプが勝つ⁉』(扶桑社刊)を読むと、見えてくるものもある。

横江氏は本書の中で、トランプ氏自身のコロナ感染と、リベラル派の最高裁判事ギンズバーグ氏の死によって、大統領選挙の結果が最高裁でのリベラル・保守のパワーバランスが崩壊に直結する事態となり「トランプVSバイデン」だったはずの選挙が「共和党VS民主党」の総力戦になってしまったことを「想定外だった」としながらも、トランプ氏が勝利すると予想している。

その裏には、日本に届くアメリカの世論調査からはわからない、トランプ氏の人気の根強さと、「トランプ氏を支持すること」への国民感情がある。

■トランプ支持者は目に見えない

横江氏は「隠れトランプ」という言葉で、アメリカ国内のトランプの求心力を説明している。氏がアメリカで行った取材では、党派や年齢に関係なく「トランプが勝つ」という答えが多かったという。

ただ、この国民認識は、世論調査に表れることはない。アメリカには「トランプ支持」であることを公言するのがはばかられる雰囲気があるからだ。公約の実行能力にはすさまじいものがあるものの、トランプ氏の言動や人となりは大統領にふさわしいものではない。そのことはアメリカ国民も感じていて、トランプを支持していたとしても、公の場でそうとは言いにくい。

トランプ氏の選挙集会を見ると、陰謀主義史観のマークを掲げる人はいるし、白人ばかりで人衆差別主義者たちの集団にも見える。掛け声も驚きだ。「Lock him up(オバマを牢屋に入れろ)」と参加者たちは声を合わせて叫ぶ。この人たちと同じに見られたくないと思う人は、トランプに投票するとは答えにくいだろう。(P 61)

人としては尊敬できないが、大統領としては支持する。アメリカにはこうした人々が一定数存在する。トランプ氏の底力は、目に見えないのだ。

そして、共和党保守派の人々にとって、トランプ氏は「スーパーヒーロー」である。この層が、どんなことがあっても離れない、トランプ氏の岩盤支持層になっている。

トランプ氏の政策ごとの支持率を見ると、高くて50%ほど、低くても33%ある。この低い方を「岩盤支持層」と考えると、選挙の趨勢は見えてくる。アメリカ大統領選挙の投票率は60%ほど。その過半数を握れば勝利できるため、有権者の30%強の得票で勝利できる。

もちろん、アメリカ大統領選挙は「大統領選挙人」に投票する間接選挙だという点は考慮すべきだが、日本で報道されているほど劣勢ではないというのは確かだろう。

トランプ氏が勝ち、二期目に入ったらどんな政策を掲げるのか。バイデン氏が大統領になったら、どのような方向転換がなされるのか。本書では「選挙後のアメリカ」にも触れているが、もちろんそれは日本も無関係ではない。報道では見えてこないアメリカの実情を知るために格好の一冊である。

(新刊JP編集部)

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日本でも関心は高く、「バイデン氏が世論調査で優勢」「現職のトランプ大統領が巻き返し」など多くの報道がなされるが、どちらかが圧倒的に優勢といえる状況ではなく、勝者を予想するのは難しい。

新型コロナウイルス対策での失政が指摘され、ここまで劣勢と言われるトランプ氏だが、2016年の大統領選挙で、大方の予想を覆して勝利した過去がある。また、アメリカ大統領選挙のシステム上、バイデン氏優勢と言われる現状が得票率に反映されたとしても、トランプ氏が勝利することは可能だ。

■「トランプ勝利」を揺るがす2つの不確定要素

なかなかに見通しがつけにくい選挙戦だが、アメリカの国内事情に詳しい元ヘリテージ財団上席研究員の横江公美氏による『隠れトランプのアメリカ コロナ感染から奇跡のカムバックでトランプが勝つ⁉』(扶桑社刊)を読むと、見えてくるものもある。

横江氏は本書の中で、トランプ氏自身のコロナ感染と、リベラル派の最高裁判事ギンズバーグ氏の死によって、大統領選挙の結果が最高裁でのリベラル・保守のパワーバランスが崩壊に直結する事態となり「トランプVSバイデン」だったはずの選挙が「共和党VS民主党」の総力戦になってしまったことを「想定外だった」としながらも、トランプ氏が勝利すると予想している。

その裏には、日本に届くアメリカの世論調査からはわからない、トランプ氏の人気の根強さと、「トランプ氏を支持すること」への国民感情がある。

■トランプ支持者は目に見えない

横江氏は「隠れトランプ」という言葉で、アメリカ国内のトランプの求心力を説明している。氏がアメリカで行った取材では、党派や年齢に関係なく「トランプが勝つ」という答えが多かったという。

ただ、この国民認識は、世論調査に表れることはない。アメリカには「トランプ支持」であることを公言するのがはばかられる雰囲気があるからだ。公約の実行能力にはすさまじいものがあるものの、トランプ氏の言動や人となりは大統領にふさわしいものではない。そのことはアメリカ国民も感じていて、トランプを支持していたとしても、公の場でそうとは言いにくい。

トランプ氏の選挙集会を見ると、陰謀主義史観のマークを掲げる人はいるし、白人ばかりで人衆差別主義者たちの集団にも見える。掛け声も驚きだ。「Lock him up(オバマを牢屋に入れろ)」と参加者たちは声を合わせて叫ぶ。この人たちと同じに見られたくないと思う人は、トランプに投票するとは答えにくいだろう。(P 61)

人としては尊敬できないが、大統領としては支持する。アメリカにはこうした人々が一定数存在する。トランプ氏の底力は、目に見えないのだ。

そして、共和党保守派の人々にとって、トランプ氏は「スーパーヒーロー」である。この層が、どんなことがあっても離れない、トランプ氏の岩盤支持層になっている。

トランプ氏の政策ごとの支持率を見ると、高くて50%ほど、低くても33%ある。この低い方を「岩盤支持層」と考えると、選挙の趨勢は見えてくる。アメリカ大統領選挙の投票率は60%ほど。その過半数を握れば勝利できるため、有権者の30%強の得票で勝利できる。

もちろん、アメリカ大統領選挙は「大統領選挙人」に投票する間接選挙だという点は考慮すべきだが、日本で報道されているほど劣勢ではないというのは確かだろう。

トランプ氏が勝ち、二期目に入ったらどんな政策を掲げるのか。バイデン氏が大統領になったら、どのような方向転換がなされるのか。本書では「選挙後のアメリカ」にも触れているが、もちろんそれは日本も無関係ではない。報道では見えてこないアメリカの実情を知るために格好の一冊である。

(新刊JP編集部)

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