6600年前、恐竜が絶滅したことで、生態系が大きく変わった。進化とはイス取りゲームのようなもので、恐竜が陣取っていた大きな枠を埋めようと、単一の生物から多様な種類の生物が生まれる適応放散が始まる。
このイス取りゲームの先手を取ったのが、恐竜の生き残り鳥類。初めに繁栄したのが、陸に残った恐鳥類のガストルニス。そして、海に向かった鳥類は、やがてペンギンとなる。最古のペンギンとして知られるのはワイマヌだ。
このような進化の歴史をゆるいタッチとギャグを交えてマンガで紹介するのが、『ゆるゆる生物日誌 人類誕生編』(種田ことび著、土屋健監、ワニブックス刊)である。著者の種田ことび氏は、グラフィックデザインやウェブデザイン等のデザイナーとして勤務後、フリーランスに。2018年から趣味として古生物学のマンガ執筆を開始。インスタグラムで公開し、人気を博している。
では、人類の歴史はどうだったのか。約250万年前、石器を使って獣の食べ残しの骨を砕いて、骨髄をすすっていたのが、初期のホモ属(ホモ属かどうかの議論は今も続いている)と言われるホモ・ハビリス。中でも栄えたのが、ホモ・エレクトスである。
石器が使われたのは250万年前ほど前からだが、より洗練されたアシュール型石器を使っていた。出現から数万年で、エレクトスはアフリカ全土を席巻し、ユーラシア大陸へと拡散していく。ジャワ島に渡ったエレクトスは、160万年前から25万年前までの間に住み着き、ジャワ原人とも呼ばれるようになる。
アフリカに残ったエレクトスから進化したと言われるのが、ホモ・ハイデルベルゲンジス。最初期の旧人だ。大柄で脳の容量は現生人類に近い。ハイデルベルゲンジスもアフリカを出て拡散するが、現生人類の祖先かは、今も議論中だという。
アフリカに住み着いていたハイデルベルゲンジスは30万年の間生きながらえていたが、衰退していき、入れ替わるように、とあるホモ属がアフリカで急速に繁栄。集団の規模は拡大していき、その後、全世界を渡り歩くことになる。彼らが、現生人類の祖先と言われるホモ・サピエンスだった。
「私たちはどこからきたのか」という、人間のルーツを辿る旅には、太古の昔と現代をつなぐ壮大なロマンがある。人類をはじめとした生物の進化をわかりやすくマンガで読むことができる本書。大人の教養としても読める1冊だ。
(T・N/新刊JP編集部)
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