友達には相談できない。親になんてもっと言えない。
解決することも、誰かに相談に乗ってもらうこともできずに、何年も一人で苦しむ類の悩みがある。夫婦間のセックスの悩みはその最たるものかもしれない。
「子どもを産んでから夫が夜の相手をしてくれなくなった」
「夫が求めてくるが、自分はしたくない」
「妻から求められるのが苦痛」
セックスについての価値観の違いや夫婦の関係性の変化など、様々な理由から夫婦はセックスレスに陥る。その時間が続けば続くほど、悩みは深くなっていく。
性やセックス、夫婦関係を専門にするカウンセラーの小野美世さんは、著書『誰にも言えない夫婦の悩み相談室』(WAVE出版刊)で、こうした夫婦の性の不一致は「0か100か」になりやすいとしている。これは「夫がセックスを嫌がるから、妻はひたすら我慢する」というように、どちらかの希望が通り、どちらかは相手の思い通りになるという状態だ。これは犠牲になる方にとってはとても苦しい。
それならば、0でも100でもない、双方が納得できる落としどころを見つける取り組みがあってもいい、というのが小野さんの意見だ。
たとえば「私(妻)はしたいのに、夫は嫌がる」という夫婦でも、夫が嫌がっているのは「挿入」であって、妻と肌を触れ合わせることではないかもしれない。それならば、夫とはスキンシップをして、挿入されたい欲求は自分でしたりラブグッズで満たすという方法もある。これでも一方的に拒絶されるだけの状態よりはかなり気が楽になるはずだ。
セックスは挿入して射精しなければならないものではなく、夫婦それぞれの形があっていい。「何ならできて、何が嫌なのか」「どこまでできるのか」など、セックスの中の具体的な行為について口に出すのは恥ずかしいことかもしれないし、相手を困らせてしまうかもしれない。しかし、お互いが快適な性の形は、そうしたコミュニケーションを重ねた先にしかないのかもしれない。
双方の溝を埋める努力が必要な一方で、セックスはやはりデリケートな問題。話し合いで折り合いをつけられるケースだけではないだろう。
夫婦で話し合った結果、「夫はしたくない、私(妻)はしたい」という溝が埋まらなかった場合、小野さんはできる限りの努力をしたことに敬意を表したうえで「これからは、自分の性質を大切にした生き方をしてもいいんじゃないでしょうか?」とアドバイスしているという。
パートナーとのセックスを大切なものだと思っている人にとって、それが奪われたまま一生を過ごすのは人生の充実度を下げてしまうかもしれない。小野さんによるとアドバイスの結果、離婚をした人もいれば、婚外でセックスパートナーを作った人もいるという。
不倫や不貞行為は社会的にはいけないことだが、自分の欲求を一方的に押し隠さなければならないことに苦しんでいる人もいるだろう。それならば「今の状態のまま夫婦関係を続けるか」「家庭外にセックスのパートナーを持つことを夫が許容するという選択はないのか」などについて、夫婦で話し合う機会を持つべきではないだろうか。
◇
本書では、夫婦間でのセックスや性についての価値観の違いを埋めるための考え方やコミュニケーションの方法について、カウンセラーとしての小野さんの経験を交えて解説されている。人には相談できない性の悩みを軽くするために、一役買ってくれるはずだ。
(新刊JP編集部)
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