TOEICの受験者なら誰もが知っているであろう、真っ黒な背景に浮かぶ赤字で印字されたタイトルの英単語集「英単語スピードマスター」。
2018年1月に待望の改訂版となる『TOEIC(R) L&R TEST 英単語スピードマスター』(Jリサーチ出版刊)が出版されたのだが、実はこの単語集、2004年に初版が発売され以来、着実に売れ続け、現在は実売85万部突破という異例のベストセラーとなっている。
著者の成重寿さんはTOEIC公開テストをほぼ毎回受験しており、990点満点を取ったことのある猛者なのだが、実はこの人、出版元であるJリサーチ出版の編集者でもある。
今回はそんな成重さんにインタビュー。前編では、TOEIC対策本の編集と執筆の裏側、そして2003年から受け続けているというTOEICの変化についてお話を伺った。
(取材:新刊JP編集部)
成重: 2003年6月29日の第99回公開試験が初めてでした。もう15年近く前ですね。
成重:今のようにポピュラーではなかったと思います。出版業界だけを見ても、試験対策本がこれほど出ていたわけではないですし、TOEICの出題傾向も違っていて、今よりも分量は少なかったですね。
TOEICの試験はリスニングセクションとリーディングセクションという2つの大きなセクションがあって、そのセクションの中でパートが分かれています。リスニングは4つ、リーディングは3つのパートがあり、Part 1からPart 4までがリスニングセクション、Part 5からPart 7までがリーディングセッションとなるのですが、そのPart 6なんかは、今は長文の穴埋め問題なんですが、昔は間違い探しの問題でしたね。だから雰囲気自体が昔と比較するとだいぶ違っています。
成重:私の感覚では上がっていると思います。ただ、スコアは調整されていますから、以前の試験のスコアが参考にならないというわけではありません。評価自体はシームレスにつながっていると思います。
成重:そうですね。ほぼ毎回受けています。
成重:実は私はもともと語学系の出版社に勤務していたんです。なので、仕事として本の編集をするなかで自然に英語の勉強ができたというのがあったと思います。逆にいえば、仕事以外で(英語を)勉強した記憶はあまりないですね(笑)。
成重:そうなんです。TOEICについては、公開テストをできるかぎり毎回受けるようにしています。自分が執筆したり編集をしたりする立場ですから、TOEICの出題傾向をちゃんと把握しておかないといけないですから。
受験は1年に一度や二度くらいでいいのでは?と思う人もいるかもしれませんが、テストを作る人は当然一人ではないので、回によって、またパートによって難易度や使われる表現なども微妙に違っています。なので、年1回の受験では足りなくて、毎回受ける中で、傾向としてはこんな感じというのを大づかみに把握しておきたいと思っています。
成重:TOEICのジャンルでは確かにあまりいない気がしますね。ですが、英語本全体なら、編集者あがりで、執筆もされている人は何人かいますよ。
成重:これは難しいところですが、役立つ本、使いやすい本というのは意識しています。また、デザインも大事にしていて、活字の大きさとか、類義語・派生語や例文をどこにどう配置するかなど、とにかく見やすくしようと心がけています。
成重:今回のものはTOEIC単語集なので、最新の出題傾向に合わせて改めて全面的に収録語の取捨選択をしました。また、一般的に言えることは、自分で書いた本には「ここはもう少しこう書けばよかった」という部分が出てくるんですよ。それをアップグレードして克服していくということもあります。
成重:おかげさまで、この本はTOEIC受験者にとっての単語集の定番のような位置づけになっています。その定番というところは引き継ぎつつ、今のTOEICの出題傾向によりマッチした単語・例文を収録するようにしました。この本はオールラウンドな単語集なので、初級から中級まで、スコアで言うと400点以下から800点を超えるあたりまで、できるかぎり多くの人に使っていただける内容を目指しました。
成重:これから初めてTOEICを受ける方は注意しておいたほうがいいと思いますが、高校や大学入試までに習ってきた単語よりも難易度の高い単語が出てきます。それは、TOEICがビジネスや日常生活をテーマにしているので、オフィスや会議で使われる単語や買い物や旅行でよく使う単語もふつうに出てきます。
成重:まさしくそうです。だからまずはこの単語のギャップを埋めることから始めたほうがいいでしょうね。
成重:初級の方は問題を解くための地力としてまず頻出の単語を一定数覚えるべきですね。そうすれば、問題がぐんと解きやすくなります。もちろん、単語だけというのではなくて、リスニング・リーディングを並行して勉強すべきです。「単語力」+「運用力」=「スコアアップ」です。また、ビジネス単語を覚えるためにはビジネスの現場を経験しているほうが有利ですが、だれもが会社に勤めているわけではないですから、例文を読んだり聞いたりして、その場面をイメージしながら覚えていくといいと思います。
(後編に続く)
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