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都会住まいでも手軽に楽しめる!今注目のエアライフルハンティング

「ハンティング」という言葉を聞いた人の多くは、『モンスターハンター』のようなゲームの世界や、海外の超お金持ちの娯楽を想像されるのではないでしょうか。確かに、日本国内で銃を撃って動物を仕留めるなんて趣味は、金銭的にも時間的にも普通のサラリーマンにとってはハードルの高い世界のように思えます。

しかし実は今、『エアライフルハンティング』というアウトドアが、都心住まいのサラリーマンを中心に注目されてきているのをご存じでしょうか?このエアライフルハンティングは、従来のショットガンやライフル、罠を使ったハンティングよりも簡単に始めることができ、山奥まで行かなくても都心から1時間程度の場所で手軽に遊ぶことができ、さらに美味しいジビエをゲットできてしまうなど、様々な魅力が詰まっているのだそうです。

そこで今回は『これから始める人のための エアライフル猟の教科書』(秀和システム刊)著者の東雲輝之さんと佐藤一博さんに、エアライフルハンティングの魅力についてお話をおうかがいました。

■都心に住んでいてもできる エアライフル猟の魅力に迫る!
――ではまず、そもそもエアライフルというのはどういったものなのでしょうか。

佐藤:簡単にいえば、弾を火薬ではなく銃の中に溜めておいた空気の力で飛ばす銃です。法的にはショットガンやライフルといった銃が「猟銃」と呼ばれるのに対して、エアライフルは「空気銃」という別の扱いになっています。

なのでエアライフル猟は猟銃を使う狩猟よりも免許を取るのが簡単で、狩猟をするときに16,500円支払う狩猟税も半額以下の5,500円で済みます。つまり一般的なハンティングよりも手軽に始めることができるというわけです。

東雲:またエアライフルの良いところはショットガンやライフルに比べて、発射音が格段に小さいところです。火薬を使った銃を撃つと、とんでもない爆音がしますが、エアライフルはスリッパで廊下をブッ叩くぐらいの音しかでません。なので、山奥に入らずとも比較的民家が近い場所でも撃てるので手軽に狩猟を楽しむことができるんです。

――空気圧を使うってことは、エアライフルはショットガンやライフルよりもパワーが劣る銃だってことですか?

佐藤:いやいや、全然弱くないですよ(笑)。エアライフルと言うと、よくおもちゃのエアガンを想像する人がいますが、エアライフルは鉛玉を使ううえエアガンとは比べ物にならないほど凄まじいパワーを持っています。

カモやキジといった鳥であれば100m先にいても仕留められますし、至近距離ならイノシシやシカも一撃です。

――ご著書では、ハンティング可能な動物に色々な鳥が紹介されていましたが、エアライフル猟のターゲットは鳥だけなんですか?

東雲:基本的にスズメやキジバト、カモやキジといった鳥だけだと思ってください。一応、イノシシやシカを仕留めることもできますが、とても初心者が一人で挑む相手ではありません。初心者がソロでイャンクック に挑むぐらい無謀です。イノシシやシカなどの大型獣を仕留めたいのなら、ショットガンを持ってグループを組んで狩りに出かけましょう。

――ちなみに、鴨などは東京に住んでいても水場で見かけることがありますが、撃っちゃっていいんですか?

佐藤:11月15日から2月15日の猟期中であり、そこが鳥獣保護区という場所でないなら獲って食べても問題ないです。ただ、東京はほぼ全域が銃を撃ってはいけない区域なので、エアライフルで鴨を仕留めることはできないですね。

でも、僕が住んでいる埼玉の加須あたりまでくれば色んな鳥が撃てますよ。ショットガンやライフルで大物猟をする場合は、車で片道3,4時間かけて群馬や山梨の山奥まで行かないといけませんが、エアライフルであれば都心から車で1時間です。

――エアライフル猟の魅力は、やっぱり近場で狩猟ができることなんですね。

東雲:そうですね、気軽にハンティングができるというのがエアライフル猟の最大の魅力ですね。東京以外の都心でも車で1時間も走れば良い狩猟スポットが見つかります。郊外の農家さんとお話をしていると、「最近このあたりの畑に○○が出て困ってるから、退治してくれ!」なんていう討伐クエストが発生することもありますよ(笑)

佐藤:獲物は鳥が基本なので、一人でふらっと行けるのも魅力だと思います。これが熊やイノシシの猟だと、「獲物を誘い出す人」と「撃つ人」など役割分担のあるグループ猟になりますから、大掛かりになりますし、どうしても気軽に楽しむことはできないんですよ。

――お話は少しかわりますが、そもそもお二人が猟に関心を持たれたきっかけはどんなことだったんですか?

東雲:僕は昔から料理が好きで、自分で釣った魚をさばいて食べるのが好きだったんです。でも僕の住んでた北九州って場所は、冬場は北風が吹くので海が荒れて魚があまり釣れないんですよね。なので「魚が料理できないなら鳥獣を料理しようか」ってノリで始めたのが狩猟でした。あと、単純に「ハンター」って言葉の響きがかっこよかったっていうのもあります(笑)。

佐藤:僕は母の実家の近くの山に、子どもの頃から親しんでいたのが大きかったですね。そこはイノシシや鹿が出る山だったのですが、大人になってからもそういう場所が好きで、車に乗って一人で出かけたりしていたんです。

ある冬に、やはり一人で山まで出かけていったら、ちょうど猟をする格好をしたおじいさんが、犬を連れて下山してくるところでした。その姿がとにかくかっこよかったんですよ。
「あ、俺もやろう!」と(笑)。それからハマってしまって、もう15年ですね。

――東雲さんは5年、佐藤さんは15年ハンティングをされてきたとのことですが、これまでに経験した怖かったエピソードとかありましたらお聞きしたいです。

佐藤:これはエアライフル猟ではなくて、猟銃を使った大物猟をしていた時の話なのですが、当時僕はまだ猟をはじめて2年目で、獣の足跡の見分けがきちんとつけられなかったんです。

山で鹿の足跡らしきものを見つけて、その跡をたどっていったら、それは鹿ではなくてカモシカでした。カモシカって岩場の切り立った狭い場所も登っていくんですよ。僕はというと足跡を追うのに夢中で、知らないうちに足場の狭い岩場の、断崖絶壁みたいなところに誘導されてしまったんです。

これ以上登るのも無理だし、かといって降りられもしないという、にっちもさっちもいかない状況でした。仕方ないから、荷物の中から獲物を縛って運ぶためのロープを出して、それをつなげて命綱にして、足場を探しながら少しずつ降りたのですが、怖かったですね。

東雲:僕は山で迷ったことですね。山の中って思った以上に迷いやすくって、しかも暗くなるのも平地より早いんですよ。真っ暗な森の中、手探りで道なき道を進んでいく・・・しかも周りから何だか聞いたこともない変な音がするし・・・。

結局、無事に林道に出ることができたんですが、基本的にハンティングで入るような里山は、観光地化された山に比べて格段に迷いやすいんです。これから猟をはじめる人には、身近な山に入る時でも絶対にライターやライトを携帯しておくようにと言っています。

――銃を持っているということで、何かトラブルがあったりしませんでしたか?

東雲:僕自身はないですが、友達はエアライフル猟をしていたら警察がやってきて事情聴取されたことがあります。ほら、今って誰でも携帯電話を持っているから『気軽に通報』ができちゃうんですよ。もちろん合法的に狩猟をやっているとわかっていても、警察は通報を受けたら動かざるをえません。

貴重な休日に、誤報というバカバカしいトラブルでストレスを感じないためにも、エアライフル猟では獲物以上に人間に気が付かれないようにするのが凄く重要だったりします。

――周辺住民からの誤解を避けるための工夫として有効なものがありましたら教えていただきたいです。

佐藤:僕は、周りに変に警戒されないように、エアライフルをギターケースに入れて持ち運ぶようにしています。

それと、猟では誤射を防ぐためにオレンジ色の帽子やジャケットを着用するのですが、テレビで見る猟友会の人のイメージなのか、「ハンター=オレンジ」という印象が定着してしまっているんですよね。

だから、山の近くでは車の外からオレンジのジャケットが見えないようにしまっておくとか、山を出たらジャケットは脱ぐとかはやったほうがいいのかなと思います。

――ところで・・・「趣味でハンティングをしている」というと、男らしくてモテそうですね。実際はいかがですか?

東雲:そう思うでしょ!?僕もそう思って、気になってた女の子に「俺、ハンターだぜ!」って自慢気に言ったんですよ。そしたらドン引きされまして。それはもう尋常じゃないぐらい嫌われました。

だから、今は「ハンティング」とか「狩猟」とか言うのではなくて「鹿肉って凄く美味しいんだぜ?」とか「ジビエ食べに行かない?」とか、『ジビエ』ってワードを使って気を引いてます。これは女の子もノってきますよ!・・・でも、デートで凄く高いジビエレストランに行く羽目になるので、オススメはできません。

佐藤:よく「銃を持っている人って怖そう」って言われますが、エアライフルも含めて、銃の所持許可証を取る時に「暴力団じゃないか、家族に暴力団関係者がいないか」とか「健康状態は大丈夫か」とか、「薬物を使ったことはないか」とか、警察から身辺調査を受けるんですよ。

逆説的ですけど、狩猟用の銃を持っているということは、その調査をクリアしたということですから、国から「安全な人」であることのお墨付きをもらったようなものです。東雲君は見た目が怪しいんだから、そこは女の子に強くアピールしておいたほうがいいと思うよ(笑)。

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『これから始める人のための エアライフル猟の教科書』著者の東雲輝之さんと佐藤一博さん
(後編につづく)

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