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1日1分の認知症対策 脳の活性化を促す「健脳」習慣のススメ!

  • 書名 死ぬまでボケない 1分間“脳活”法
  • 出版社名ワニブックス刊
  • 出版年月日2017年6月 8日
  • 判型・ページ数219ページ
  • ISBN9784847061134

■運動は「末端」を意識すると認知症予防になる!
 
自ら老人たることを知るものは少ない――。
これは、フランスの文筆家ラ・ロシュフコーの言葉だ。「まだまだ大丈夫」と思っていても、自分が気付かないうちにやってくるのが「老い」だ。

それとともに、いつの間にか認知症や認知症の予備軍になってしまっている、という人も少なくない。本人が健やかに暮らし続けるため、家族に苦労をかけないためにも、やはり認知症は予防したいところだ。

そんな認知症予防の対策法が書かれている一冊が『死ぬまでボケない 1分間"脳活"法』(帯津 良一、鳴海 周平著、ワニブックス刊)だ。

同著によれば、認知症を予防するために
・からだを動かすこと
・食生活に気をつけること
・心にいつもときめきを持つこと

この3つのことを意識することが大切だという。
3つめの「ときめき」とは、新しい体験や変化、心穏やかな時間などが挙げられる。
これらを意識して生活の中に取り入れれば、脳が活性化し、認知症になりにくい「健脳」でいられるという。

この3つは、一見すると当たり前のことのようだが、その「当たり前のこと」を習慣づけるのが、実際にはなかなか難しい。
だが本書で紹介されている「健脳」になるための脳活法はそのどれもが1分で気軽にできる簡単なものばかりなので、習慣づけもしやすい。

本書は「運動」「食生活」「心がけ」の三つの項目に分けられ、全部で27のエクササイズが紹介されている。
たとえば、「運動」の項目には、

・「朝、布団の中で手と顔をすり合わせる」
・「ゆっくり8方向を見る」
・「片足立ちをする」

といったものがある。
特に、手足や顔といった末端部分の運動は、脳を刺激するという。

「片足立ち」なら、体勢をキープしようとするため、三半規管や中枢神経も刺激するうえ、足の運動にもなる。しかもその効果は片足ずつ1日3回、両足で6分行うだけで、約50分のウォーキングに匹敵する運動負荷だというから驚きだ。

作家の五木寛之氏は、この運動を毎日、歯を磨きながらおこなっているという。
このように簡単なエクササイズを生活に取り込めば、習慣づけもしやすくなるだろう。

■ちょっとした工夫で食事も「脳活」になる
 
「食生活」も少し気をつけるだけで、効果的な脳活になる。

たとえば、大豆のイソフラボンが抗酸化作用を持っており、健康に良いのは広く知られている。
その大豆を発酵させた「納豆」をよく食べる人は多いだろう。

そこで、納豆を食べるときには「1分間、納豆を丁寧にかき混ぜてから食べる」ということをやってみるとよい。
ポイントは「丁寧にかき混ぜる」という部分だ。ゆっくり丁寧な動作には、自律神経のバランスを調える効果もあるので、こうして食べれば、身体にも脳にも良いというわけだ。
他にも、食生活での脳活法はたくさんある。

その中でも興味を惹かれたのは「目をつぶって味わう」という脳活法だ。
 
目をつぶって食べると、視覚を遮断しているぶん、いつもよりもたくさんの味覚を感じられるという。また、「これは何の触感だろう」「調味料は何を使っているのだろう」と想像することも刺激になる。
この両方が相まって脳のさまざまな部分が反応するので、効果的な脳活になるのだという。

■生活リズムは保って、変化や新しい体験で脳を刺激する
 
認知症の予防には、「心」を調えることも非常に効果的であるという。

そこで押さえておきたいのは、「基本的に脳は新しい体験や変化を喜ぶが、毎日の生活のリズムだけはなるべく変えないほうがいい」ということだ。

ちゃんと朝に起きて、太陽光を浴びると、脳内物質のセロトニンが分泌されて心身の健康に良いとされる。
また、生活リズムを調えれば睡眠の質が上がる。アルツハイマー型認知症の原因物質として挙げられるアミロイドベータなどの有害物質は、質の良い睡眠で解消されると言われているようだ。

「起床と就寝を原点に、生活リズムを維持しつつ、新しい体験などを楽しむ」というのが、脳を健康に保つ秘訣なのだという。
日常で新しい体験をするのは難しいと思えるかもしれないが、意外に簡単な方法でできることがある。

それが「今日のコーディネートを考える」ことだ。
脳の発達と加齢のメカニズムを研究している東北大学脳科学センター教授の瀧靖之氏は、16万人以上の脳画像を見てきた。その結果、「身なりと脳の画像は一致する」ということがわかったという。
つまり、「オシャレな人は脳も若い」と言えるのだという。

「今日はオシャレをしよう」と思えば楽しくなるし、いつもと違う格好は変化になる。また、新しい服を買って着ることは「新しい体験」とも言えるだろう。

認知症予防のために何かをしよう、と考えると億劫になってしまうことも、脳活習慣を上手く生活に取り込めれば、自然と心身ともに健康でいられる。
本書で、「これならできそうかな?」ということから試して、楽しみながら「健脳」を目指せば、健やかな老後を、長く続けていけるだろう。



(ライター:大村 佑介)

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