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「中古木造アパート」を買う経営者が儲かるワケ

  自分の給料は自分で決められる経営者だけに「今の報酬は適正なのか」と疑問に思うこともあるはず。

 ならば「もっと欲しい!」と願いつつも税金などの兼ね合いから控えているならば、一度「不動産」に目を向けてみるべきだ。
 
 今回は『経営者の手取り収入を3倍にする不動産戦略』(沖有人著、日経BP社刊)の著者で不動産投資のプロである沖有人氏に、経営者が「手取り収入を増やす」ために不動産をどう使えばいいかを聞いた。

――本書では「節税」に関する話が数多く出てきますが、これはなぜですか?

沖:節税を伴わない不動産投資は意味をなさないからです。日本は海外に比べて重税。したがって、不動産投資により一時的にキャッシュが入ってきたとしても、うまく節税対策をしないと、儲かれば儲かるほど税金を持っていかれてしまいます。その結果、「税引き後利益はわずか」ということになりかねません。

――本書では、節税のための具体的なノウハウとして、減価償却費に着目されていますね。

沖:まず一般論的に、会社が利益をあげたとき、多くのオーナー経営者は自分の役員報酬を下げ、法人の内部留保を増やそうとします。「法人税より所得税のほうが高い」ということが頭をよぎり、役員報酬を増やしてしまったら、その分、税金で丸ごと持っていかれるだろうと思っているからです。
たしかに今後のトレンドとして、法人税「以外」は増税していくことが予想されます。その意味で、「儲かったら内部留保に」と考えるのは間違いではありません。
ですが、会社が利益を出し、経営者自身の役員報酬を上げたとしても、税金で持っていかれないようにする方法もあります。減価償却資産に投資し所得控除を受ければ、手取りを2倍、3倍に増やすことができるのです。

――具体的に、どのような減価償却資産を購入すればいいのですか。

沖:築22年以上で、かつ建物割合が60%の中古木造アパートを購入しましょう。この条件を満たす物件であれば、物件価格の15%を毎年減価償却できるからです。たとえば、2億円の物件を買った場合、毎年3000万円が減価償却できるわけですね。つまり、その経営者が3000万円の所得を得ていたとしても、所得税と住民税をゼロにできるのです。
こういった節税対策をしない状態で収入3000万円の場合、手取りは1800万円くらいになります。ですが、減価償却資産への投資によって節税することで、最終的な手取りは3600万円ほどになります。

――では、そのような条件の物件を見つけるために気をつけるべきポイントは何ですか。

沖:アメリカの西海岸で物件を探すのがポイントです。というのも、日本では、築22年を超える木造アパートは少ないですし、減価償却制度の違いにより、建物割合が60%という物件を見つけるのは難しいからです。その点、西海岸であれば、このような物件はいくらでもあります。
また何より、アメリカの物件に投資することのメリットは、リノベーションやリフォームによって建物の価値を上げられる点です。壁紙を張り替えたり、躯体を残して水回りを全部替えれば、アメリカでは「建物価値が高い」と評価してもらえるのです。
日本では、建物をリフォームしても賃料を上げるのは難しいですから、この違いは大きい。アメリカの不動産に投資をすることで、「資産をバリューアップさせ、購入価格以上の価格で売却」という絵を描くこともできるのです。

――節税面もさることながら、「どういう形にして売るか」まで視野に入れて不動産投資をおこなうということも重要なのですね。

沖:これは株式投資にも言えることですが、投資において、「出口戦略」つまり「どういう状態になったら売るか」を考えることはとても重要です。にもかかわらず、「出口戦略」を持たずに株や不動産に手を出してしまう人は意外と多い。
たとえば、100円で買った株が120円になったので「売ろうかな」と思っても、ずるずる決断をのばしているうちに、あっという間に株価が90円になってしまい、売るタイミングを逃してしまった……というようなケースは決して珍しくありません。
「このくらいの期間が経ったら売る」など、買う時点で「売るときのこと」も考えておかなければ、長期的に儲け続けることは難しいでしょう。

――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

沖: 特に経営者の方には、不動産に対して「食わず嫌い」にならないで下さいということをお伝えしたいですね。これまで見てきた経営者の方のなかには、食わず嫌いであったり、判断材料が不足したりしているために、思考停止に陥ってしまっている方が少なくありませんでしたから。
その意味では、本書の内容に触発され、行動を起こす経営者の方が増えてくれれば、これにまさる喜びはありません。

(了)

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『経営者の手取り収入を3倍にする不動産戦略』(日経BP社刊)

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