世の中には、「残業するのが当たり前」という状態に陥ってしまっている会社はとても多いでしょう。でも、「できることなら早く帰りたい」「休日出勤なんてしたくない」と多くの人は思っているはずです。それなのに、なぜ残業・長時間労働はなくならないのでしょう。
「ランクアップ」という化粧品会社を営む岩崎裕美子さんは、その著書『ほとんどの社員が17時に帰る10年連続右肩上がりの会社』(クロスメディア・パブリッシング刊)の中で、「残業も長時間労働もいらない」とはっきり言っています。残業しないで、社員43名で年商75億円を売り上げる会社は、どういう働き方をしているのでしょうか。いくつかご紹介します。
■「17時に帰っていいよ」制度
会社の定時は8時30分~17時30分。しかし、その日の仕事が終われば誰でも17時に帰ることができる制度です。
17時30分に帰っても17時に帰っても給料は同じなので、みんな17時に帰ろうと、効率よく仕事をする工夫を凝らし、さらに集中して取り組んでいます。社内にはワーキングマザーも多いので、子どもと一緒に過ごす時間を少しでも多く取りたいという人も多く、17時には会社はガラガラです。
■毎月の業務棚卸しで「やる・やらない」を選別
毎月、部門内で上司と部下が業務を棚卸ししています。やらなくてもいい業務、優先順位の低い業務を選別し、仕事量の多い人から少ない人に振り分けたりと、業務の交通整理をします。
どこの会社でもありがちだと思いますが、以前は必要だった業務が、時間の経過とともにあまり重要ではなくなっているのに、慣例的に続けられているものがあったりするものです。そういった業務を毎月見直すことで、早期に発見し、スパっとやめて無駄をなくすことができます。
■取引先を巻き込む理念共有型アウトソーシング
自分たちでやるより、プロに任せた方が早い仕事は、積極的にアウトソーシングをしています。
そして、アウトソーシングする取引先に、自分たちの会社の理念をしっかりと共有することで、アウトソーシング先が理念にもとづいて判断し、行動してくれるのです。それによって、アウトソーシング先と都度都度のやり取りが減少し、報告をもらうだけといった、お互い業務が効率よく行える環境をつくりだしています。
■業務スピードを上げる社内ルール
いくつかありますが、ここでは3つご紹介します。
1つ目は、会議は基本30分。時間になったら次に会議室を使う人が待っているため終了。30分という終わりの時間を設定することで、時間内で話がまとまるように集中して会議に臨んでいます。
2つ目は、社内のメールに「おつかれさまです」は使わないこと。それを打ち込むのも読むのも時間の無駄になるため、社内のメールでは本文から始まります。
3つ目は、社内のスケジュールは勝手に入れること。Webのスケジューラーで社員みんなのスケジュールを共有して、打ち合わせをしたい場合は、メンバーのスケジュールが空いていれば本人の承認を取らずにスケジュールを入れることができます。
この他にも、ランクアップでは残業ゼロにするための会社としてのこだわりや、社員のやる気を引き出すために様々なことを実践しています。しかし、実は岩崎さんの前職は、超ブラック企業の取締役。そこでの苦しみがあったから、今のランクアップができたのです。
残業・長時間労働に苦しみながらもそこに甘んじてしまうのではなく、働き方を変えようとする意識を持つことが大切なのです。
(新刊JP編集部)
【関連記事】
・
脱・社畜!ムダ残業を回避するテクニック・
「残業代ゼロ法案」はどうなる? ブラック企業を容認する日本の労働制度・
毎日が残業…仕事が遅い人の共通点・
イケアが都内初オープン! 社員を大切にする企業風土とは『ほとんどの社員が17時に帰る10年連続右肩上がりの会社』(クロスメディア・パブリッシング刊)