いつも焦っている、心が落ち着かない、不安でいっぱい…。多くの人がそういった思いを抱えているのではないでしょうか。そして、その不安は必ず体のどこかにあらわれてくるもの。しゃべり方、行動、息遣い、表情などにそれが表出し、察知されてしまうこともあります。
八洲(やしま)学園大学国際高等学校の校長、八洲学園大学の教授、そして僧侶でもある岩井貴生さんが執筆した『楽になる禅のおクスリ』(主婦の友社(発売)/ 主婦の友インフォス情報社(発行))は、忙しない現代を生きる人たちに、禅の教えを通して心の平穏の大切さを伝えてくれる一冊。自分の心をコントロールするにはどうすればいいのか、もっと楽に生きるにはどう考えるべきなのか、悩んでいる人たちへの“おクスリ”が詰まっている。
ここでは本書から心に落ち着きがなく、せわしい人がやってしまいがちなことを、3つピックアップしてご紹介します。
■無駄口が多いのは不安な証拠
つい何度も同じ話をしてしまったり、自分の話ばかりをしてしまったりして、後悔した経験はありませんか。人間は、自分の心が不安な状態で自信を持てないとき、話し続けることで不安を打ち消そうとして、必要以上に話をしてしまいます。さらにこれが「言い過ぎたかも」などの不安を呼び込んでしまうことも。
しかし、岩井さんは、時には「沈黙」も必要だと言います。そして「沈黙すると自分を冷静に省みることができ、心も落ち着きます。そうすれば必要以上の言葉は不要です」と説きます。不安なときは、逆に沈黙して冷静になり、それから言葉を口に出していくのも手なのではないでしょうか。
■呼吸が乱れるのは動揺しているから
呼吸は、悩んだり苛々したりしたときに乱れます。そして、呼吸が速くなると必然的に息をする間合いが速くなり、肺呼吸となって無意識に肩に力が入ってしまい、心身ともアンバランスな状態を生んでしまいます。
そんなときに覚えておきたいのが、本書で紹介されている禅僧の呼吸法。禅僧は、特に坐禅中はできるだけ時間をかけてゆっくりと呼吸します。岩井さんの場合、20秒かけてゆっくりとまず息を吐き出し、そのあとまた20秒かけてゆっくりと息を吸っていくそうで、大体40秒に一呼吸になるといいます。
坐禅をする一つの目的は呼吸を調え、心身の状態を調えることだと岩井さん。動揺や焦りを感じたときはまず、深く呼吸をしてみてはいかがでしょうか。
■最後まで話を聞くことができない人は器が小さい
相手の話を最後まで聞かず早合点をしてしまい、勘違いしたことはありませんか。これは自分の意見を先に主張したいと焦る気持ちや、「自分は正しい」という強い思いが、「思い込み」となって正しい判断力を鈍らせてしまったからです。
話の聞き方には、その人の人間の器の大きさがあらわれます。器が小さい人を喩えた禅語に「浅水魚無くして 徒に下釣を労す」という言葉がありますが、これは「魚のいない浅瀬に釣り糸を垂らしても何も釣れない」というところから、「器の小さい人は導き甲斐がない」という意味があるそうです。
このようにならないように、他人の話を最後まで聞き、「でも」「だって」といった逆接の言葉を使わないように心がけてみて下さい。
本書に書かれていることは、私たちがもっと楽に生きるための「きっかけ」となるような教えです。小難しいことは一切なく、どんな人でも理解することができるでしょう。
「最近、人間らしい生活をしていない」「もっと楽に生きることはできないかな」そう思っている人は、岩井さんの言葉は響くはずです。
(新刊JP編集部)
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