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「与信管理」にスポットあてたビジネスノベル、第2弾登場

 ドラマや小説は、登場人物の感情の揺れやストーリー展開を楽しむものだと思っている人は多いだろう。だが、物語の魅力はそれだけではない。ちょっと視線をずらしてみて、その登場人物の職業や仕事にフォーカスしてみると面白いかもしれない。

 例えば、10月から12月にかけて放送されるドラマの主人公たちはどんな仕事をしているのだろうか? 調べてみると、『SAKURA~事件を聞く女~』(TBS系)の主人公・水沢桜は駒込中央署・生活安全課の相談窓口係。『すべてがFになる』(フジテレビ系)の主人公・犀川創平は国立大学の助教授、『きょうは会社休みます。』(日本テレビ系)の主人公・青石花笑は中堅総合商社で事務職として働くOLといった具合だ。

 ストーリーを楽しむだけでなく、登場人物にフォーカスしてドラマを観たり、小説を読んだりすることで、自分の知らなかった仕事の面白さに気づくはず。しかも、その仕事がマイナーであればあるほど、その可能性は高くなるのではないだろうか。

 このほど出版された『与信管理奮闘日記2―「会社の嘘」を見破る凄ワザ女子、敗れる! ?』(藤本太一、川本聖人/著、リスクモンスター株式会社/監修、ダイヤモンド社/刊)の主人公、沢野千遥の仕事は「与信管理」だ。「与信管理」と聞いてピンとこない人も多いだろうが、実はこの仕事、企業活動において非常に重要な役割を果たす縁の下の力持ちというべき存在なのだ。

 その仕事は、一言でいえば「リスク管理」。例えば、営業が大きな取引案件を決めてきた場合、その取引先と本当に取引していいのかを精査する。そして、「本当にこの会社と取引をして、自分の会社にリスクはないのか?」という視点で取引先を疑い、相手から提出されたデータや指標の裏を見抜くのだ。

 一見地味な仕事だが、『与信管理奮闘日記2』を読むと、全くそうではないことが分かる。約束手形の手形ジャンプ(支払い期限を延長すること)を繰り返す取引先との駆け引きから始まるこのストーリーは、複雑な人間関係の中で動いていく。信頼とは一体何か、信じられるものとは何かが問われる。

 また、この小説のもう一つの読みどころは、千遥の恋愛模様だ。実はシリーズ前作で、大学時代の同期であり、物語のもう一人の主人公でもある藤崎恭一と結ばれる。ところが、恭一は妻子がいる身。友人関係に戻るものの、気持ちは過去から抜け出せないでいた。そんな引き摺る想いを持ちながら今作は進んでいく。

 人間がいるところにドラマが生まれる。まさにそんなことを思わされる本作。「与信管理」の奥深さを充分に味わえるとともに、点と点が線で結ばれていくストーリー展開にも引き込まれる。

 今、自分の仕事に飽きてしまったり、嫌になってしまったりしていないだろうか。そんなときは、ぜひ千遥たちの奮闘に触れてみてほしい。どんな仕事にも壁はあるし、それを乗り越えていかなければ成長はないものだし、その一方で壁にぶつかって悩んでいるのは自分だけではないということが分かるはずだ。
(新刊JP編集部)

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