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安倍政権の「規制改革」を妨げる人々

 安倍政権が成長戦略の目玉として「規制改革」を掲げているように、日本社会には厳しすぎたり、時代遅れになってしまっている「規制」が各所にはびこり、それが日本の成長を妨げる要因となっているとする声は多い。
 そんな、非合理的な規制について、法律を作る側の立場から解説しているのが、通産省の役人として、長く規制を課す立場にいた原英史氏の著書『日本人を縛りつける役人の掟:「岩盤規制」を打ち破れ!』(小学館/刊)だ。
 これらの規制がなぜ生まれ、現代に残ってしまっているのか、原氏は先日行われた京都大学の瀧本哲史准教授との対談の中で語った。今回はその後編をお伝えする。

■日本に非合理的な規制がはびこるワケ
 対談の前編で、日本にはびこる非合理的な規制を、実例を挙げながら解説した原氏だったが、後編では「最近、安倍総理が“岩盤規制”という言葉をよく使うが、なくしたり改善した方がいい規制が、20年、30年とそのまま残ってしまっているという例はざらにある」と、こういった規制が生まれてしまう構図に踏み込んだ。
 ありとあらゆる規制には「特定の利権を持つひと握りの人々」が絡んでくるとする原氏。数の上では圧倒的に少ない彼らだが、ほとんどの場合何らかの団体に支えられているため、選挙では強い。数の上では大多数である「利権に関係がない一般国民(の利益を代弁する候補者)」が、選挙では「一握りの既得権益層(の利益を代弁する候補者)」に負けるということが起こるのだ。
 これに対し、瀧本氏は「選挙は投票という面倒なプロセスがあるから、大抵の国民は“投票してもしなくても変わらないから投票には行かない”というある種合理的な判断をする。でも、利権を持つ団体は自分らの意思が反映されないと死活問題だから、本気で関係者に投票依頼をして投票させる」と、選挙での既得権益層の強さの理由を推測した。政治を頼らなくてもさして困らない一個人と、そうでない団体が戦えば、熱心な方が勝つのは当たり前、というわけだ。

■官僚・議員・既得権益層が「岩盤規制」を作り出す
 では、政治家と共に公共政策を作る官僚機構は、はたして国民と既得権益層のどちらの味方なのだろうか?
 原氏によると、「圧倒的に既得権益層の味方」だとした。役所という縦割り組織の中で働く人は、どうしても自分の所管業種だけを見て仕事をするようになり、するとその業種との結びつきは強くなる。こうして既得権益層と、彼らの利益を代弁する族議員、官僚機構が“一枚岩”となり、「岩盤規制」ができあがるというわけだ。

 こういった仕組みによってできあがった非合理的な規制は日本にはまだまだあり、そのあまりにもずさんな実態が本書では明らかにされている。
 原氏と瀧本氏の対談の模様は、8月6日(水)配信の新刊ラジオでも聴くことができるので、日本の規制の裏側に興味を持った方は、本と併せてチェックするといいだろう。
(新刊JP編集部)

■新刊ラジオ 第1728回『日本人を縛りつける役人の掟: 「岩盤規制」を打ち破れ!』(http://www.sinkan.jp/radio/radio_1728.html)

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