「健康に良い」「体に良い」。私たちはこんなフレーズに弱く、さらに周囲にもそれを勧めてしまいます。
しかし、それは本当に「体に良い」のでしょうか?
それをしっかりと調べた上で実践しているのでしょうか?
『子どもを病気にする親、健康にする親』(マキノ出版/刊)は内科医である内海聡さんが、知らない間に子どもを傷つけてしまう“毒になる親たち=毒親”に対して警鐘を鳴らす一冊です。
この本では、内海さんが「子どもにとって良くないこと」を列挙し、解説しているのですが、その中には大人にとっても知っておきたい「良くない情報」が含まれています。
ここではネットでも話題になっている牛乳やマーガリンについて、そしてオリーブ油についてご紹介します。
■「牛乳は飲まないほうがいい」は本当?
「牛乳はカルシウムが多く、健康にいい」というのは、半ば常識的な情報。小学校や中学校の頃は、毎日給食に牛乳が出てきては飲んでいましたよね。ところが内海さんは「牛乳は子どもに飲ませてはいけない」と言います。一体なぜなのでしょうか?
まず、牛乳のたんぱく(カゼイン)は胃腸に過度な負担をかけ、消化管でスムーズに処理できないため、さまざまな毒素を出し、血液を汚してしまうと内海さんはいいます。ほかに、牛乳に含まれているリンは骨のカルシウムを溶かしてしまいます。その結果、骨粗鬆症を招いてしまう可能性も。
そもそも欧米人と違い、日本人の約8割は「乳糖不耐症」といって、牛乳を分解する能力を持っていないといわれています。牛乳を飲むとゲリしたり、便が緩くなったりするのはこのためです。1996年以降、厚労省では離乳食の基本として「1歳未満の乳児には牛乳を与えない」としています。
また、牛乳はカルシウムをそれほど含んでおらず、他の食品と同量の重さで比較をすると、小魚や煮干しは22倍、ヒジキは14倍、ワカメは7倍、切り干し大根は5倍、大根の葉は2.5倍。牛乳よりもこうした伝統的な食材を食べることで、カルシウム不足をじゅうぶんカバーが可能です。
■それでも日本人はマーガリンを食べるのか?
昨年の11月にアメリカでトランス脂肪酸を食品に使用することを原則禁止する規制案が提示されたのは、記憶に新しいことでしょう。
このトランス脂肪酸を使った食品の代表的な存在がマーガリンです。
食品にトランス脂肪酸を使うと、長持ちで長期保存が可能になります。しかし、実はマーガリンの化学構造はプラスチックの化学構造と分子1つしか差がありません。長期保存ができるという裏側には、そういった事実があります。
トランス脂肪酸は、糖尿病や高血圧、高脂血症、がんなど、さまざまな病気の発症に関与しているといわれ、各国で規制の流れができています。もともとは「健康に良い」とも言われたマーガリンですが、世界でそうした状況が生まれているということは知っておいて損はありません。
■ペットボトル入りのオリーブ油は注意が必要
「健康に良い」とされる油の代表的な存在といえばオリーブ油ですが、「最近のオリーブ油は品質が下がっている」と内海さんは指摘しています。
昨年出版された『エキストラバージンの嘘と真実』(日経BP社/刊)という本で明らかにされたように、エキストラバージン・オリーブ油の“偽装”が増えているという話もあります。
安くて汚いオリーブ油は、健康に良いというイメージのオリーブ油から遠く離れます。例えば、プラスチックボトルに入っているオリーブ油は、プラスチックから有害物質が油に溶けだしやすくなっていると、内海さんは危険性を指摘します。
オリーブ油は遮光性の高いビンに入っているものを使う。これが理想的です。
インターネット上では、内海さんの意見に対して賛否が真っ二つに分かれており、良くも悪くも注目を集めていることが分かります。
本書でも「危険」「○○するな」など断定的な言葉を使いながら、「子どもにとって良くないこと」を次から次へと切っていくのですが、その中には、今まで自分が信奉してきた事柄もあるはず。
そこで何も考えずに否定するのではなく、少し立ち止まって自分から情報を取りにいったり、考えたりすることが大切なのではないでしょうか。
(新刊JP編集部)
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