勝てば国内最速、プロデビュー6戦目での世界王座奪取ということで、昨日4月6日に行われた、井上尚弥選手の世界タイトルマッチに注目していた格闘技ファンは多いはず。
そして、見事WBC世界ライトフライ級王者のアドリアン・エルナンデス(メキシコ)を6回2分54秒TKOで撃破。この勝利は、井岡一翔選手や村田諒太選手以上の、日本ボクシング界の新たな英雄の誕生を告げたものだといえます。
これでプロ通算6戦6勝と“怪物”の名をほしいままにしている井上選手ですが、その強さはどのように培われたものなのでしょうか。
彼の半生が綴られた『真っすぐに生きる。』(井上尚弥/著、扶桑社/刊)を開くと、その秘密がわかってきます。
■父の理論が70、自分の直感が30
井上選手は、アマチュア時代から父・真吾さんの指導のもとで力をつけてきたことが知られています。スポーツの世界で、こうした“親子二人三脚”は決して珍しいことではありませんが、井上選手と真吾さんのケースは少し特殊です。
どんなスポーツでも、ある段階までは親が指導して、一定のレベルに達したらあとは自分の力で成長していくよう、子どもを「巣立たせる」というのが常識。あまり親がいつまでも付きっきりだと、選手本人の考える力が養われない、という定説があります。
しかし、井上選手は世界王者に手が届くレベルにきた今でも「父の指示が70%、自分の意思が30%」という戦いを続けているといいます。
井上選手は、真吾さんとの関係をこのように表現します。
「そもそもが父の取り組みで始めたボクシングだ。しかも僕たちは家族であり、血縁関係のないジムの会長やトレーナー、さらにいえば恋人よりも何倍も多くの時間を一緒に過ごしている(中略)僕たちはきっと信頼度が違う」
常識がどうであろうと、自分たちはこのやり方で勝ってきた。
井上選手の言葉からは、父・真吾さんとの絶対的な信頼関係と自分たちの方法についての強烈な自負が伺えます。それだけに、真吾さんが不在の試合はやはり不安があり、そんな状況で行われたアジア・ユース選手権と、世界ユース選手権はともに、井上選手は敗れています。
「父の理論と息子の直感」があってこその“怪物”。
これがわかっているからこそ、今では井上選手の試合には、どこであろうと真吾さんが同行しているといいます。
本書には、生い立ちから、ボクシングとの出会い、プロ転向など、これまでの井上選手の足取りが、本人と真吾さん双方の言葉で語られています。
晴れて世界王者となった井上選手ですが、「強い相手としか試合をしない」と公言している以上、王座防衛はさらに厳しい道のりになることは間違いないでしょう。
親子でどこまで行けるのか、今後の闘いに注目です。
(新刊JP編集部)
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