「火」は私たちの生活とは切っても切れないもの。一体いつ頃から人類が火を利用してきたのかは、はっきり分かっていないものの、研究者の中には100万年以上前から使われていると主張する人もいます。
時には崇拝の対象になり、時には万物の根源とされたこともある「火」。ゴウゴウと燃え盛る火は、常に畏怖の念を持って人類から扱われてきました。
その一方で、火をオブジェとして捉えたり、そこから癒しを感じたり、活力を与えてくれるものとしても使われています。
例えば、日本でも諸外国でも、暖炉の火は一家団欒の中心で安らぎをもたらしてきました。火は暖かな空気と明るさをもたらし、薪がパチパチとはぜる音に耳を傾ける…。そんな優しくて静かな時間を楽しんできたのです。
120万世帯が暖炉を持つ北欧・ノルウェーでは、薪が燃えているだけ映像を何時間も連続で放送し続け、同国内で視聴率20%を記録。さらに、それを紹介した日本の人気深夜番組「月曜から夜ふかし」(日本テレビ)で2分間、薪が燃えている映像を放送し続けたところ、その時間だけ視聴率が上がったと報告され、話題となりました。これには出演者のマツコ・デラックスさんや村上信五さんもビックリ。
なぜ暖炉の火は、人の目を釘付けにするのでしょうか。
暖炉の火の魅力をあますところなく語り尽くす、なんともマニアックなDVD BOOK『DVDで見る癒しの炎DANRO(暖炉)』(DANRO製作委員会/編集、新星出版社/刊)で、脳研究者の池谷裕二さんは「赤はやる気を削ぐ。赤い炎。炎を見ていると、やる気がなくなって、のほほーん。それがいわゆるリラックスしている状態と違うのかな」と分析。さらに、さらに自宅に暖炉があるという作家・医師の米山公啓さんは「薪を焚いて炎を見ていると、ただそれだけで面白いってやつがいっぱいいるわけです。生の炎って、あまり見ることがない。面白いから、ずっと燃やし続けるわけ」と語り、炎が“おもてなし”の効果を生んでいるといいます。
このDVD BOOKには暖炉の火を延々と映しているDVDが付録としてついています。定点カメラによって撮影された80分間の映像では、ただひたすら暖炉の火がゆらめいているシーンが続きます。
すぐに飽きが来る…と思ったら大間違い。火は常に不規則にゆらめいているので、一瞬たりとも同じ形はありません。何も考えずに暖かな色のゆらぎを見ていると、強張った心がほどけていくようです。また、パチパチという薪のはぜる音が心地よく臨場感を演出し、暖炉があたかもあるかのように感じます。さらに、リピート機能によって無限に暖炉の火を楽しむことができるというサービス(?)も。
「火は危険」ということから、火をじっくりと見つめる機会はそうありません。
画面に映し出される暖色系のゆらめきはリラックス効果があり、一日の疲れを癒してくれます。視聴者を釘づけにする暖炉の火の映像、味わってみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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