仕事で思うように成果が出ない、がんばっているのに周りから評価されない。
働く人にとってこれらは深刻な問題です。しかし、結果を出し、周りから評価されるためにどうするべきか、ということを考えてみても「もっと一生懸命やる」といった漠然とした答えになりがち。
日報コンサルタントの中司祉岐さんは、著書『書くだけで自分が9割変わる』(プレジデント社/刊)で、仕事で結果を出せるようになるための方法として、「仕事中の自分の行動を紙に書き出してみる」ことを勧めています。
このシンプルな方法で、仕事がどのように変わるのか?
中司さんにお話をうかがってみました。その後編をお送りします。
■自分の行動を書き出すことは、自分と向き合うこと
―自分の行動を記録するのは、できるだけ細かく書きだしていくべきですか?
中司「細かく書いていくことも必要ですし、大まかな一日の流れも気にしなければいけません。だから両方ですね。
自分の行動を分析するという意味では、結果を残している営業マンがよくやっているんですけど、自分の商談などを録音して、後で書き起こしてみるのもいい方法だと思います。それをやることで、何が良かったか、悪かったかを分析して、自分の“勝ちパターン”を作っていけます。そのパターンができれば、毎回そのやり方でやってみて、悪かったところを修正していく。これを繰り返していると“勝ちパターン”はどんどん洗練されていくわけです」
―今、記録のやり方として、「できるだけ細かく」ということと「大まかな流れを意識する」ということ、それと自分の会話を録音するということもおっしゃっていましたが、本書では同時に、記録にかける時間の目安として「7分」という数字を挙げられています。ひとつひとつのタスクが終わった直後のこま切れの時間を使うにしても、合計7分で自分の一日を記録するというのは可能なのでしょうか。
中司「この本で書いた“7分”というのは入口で、慣れてきたら30分ほど使ってやってみてほしいと思います。
人間の集中力が持続するのはせいぜい15分だと言われていて、速記だとか同時通訳のように最大限の集中を必要とするような仕事はだいたい15分で交代するみたいです。それを考えたら、最初は15分の半分ということで7分くらいがいいのではないかと思います」
―どのような人に向けて書いた、というのはありますか?
中司「今回の本は、誰かに特化した部分をなくそうと思って、若いビジネスパーソン全般に向けて書きました。
今は“ワーク・ライフ・バランス”ということで、仕事と趣味を分けて考えるのが主流になっていますが、これから年収を1000万にしたいとか、もっと大きな夢を持っていて、それを達成したいのであれば、仕事を趣味に変えなきゃいけないと思うんですよ。それができれば仕事面での成長スピードは一気に上がるはずです。
しかし、ただやみくもにやるのではなく、自分と向き合いながらやっていくことが、成長には欠かせません。自分の行動を記録することにはそういう意味があるんです。自分が何をしたかを書き出すことは、自分の仕事と向き合うということですから」
―最後になりますが、読者の方々にメッセージがありましたらお願いします。
中司「僕はフリーターからコンサルタントになりました。しかも東京ではなく地方で起業しました。もちろんコンサルタント会社で働いたこともありません。
それでも、こうして本を出すことができたり、メディアにも取り上げてもらえるようになったのは、単純に自分の目の前のことから逃げずにやりとおしたからです。
営業をやっていた時は営業をやり通しましたし、接客業をやっていた時はそれをやりまくりました。結果が出るまでとにかく自分を変え続けて、考えられる限りのことをやっていました。
でも、自分を変えるにも、一日に起こったことや気づいたことを記録して自分の状態を把握しないと、どう変えていいかわからないじゃないですか。記録することによって、目標に向かってアイデアを出しながら自分を変えられて、過去の失敗も生かすことができます。成功する方向にアジャストしていけるんです。成功するためにはまず己を知れということですね。それさえできれば、学歴や経歴なんて関係ないですよ。問題は社会に出た後にいかに自分を磨くかなんですから」
(インタビュー・記事/山田洋介)
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