著者の東山彰良さんは2015年『流』で直木賞受賞以来、中央公論文芸賞、織田作之助賞、読売文学賞、渡辺淳一文学賞受賞というまれに見る快挙を遂げた今最も注目される小説家だ。本書は、中国出身の両親の元、台湾に生まれ、幼少期に日本に渡ってきたという著者自身の過去への回想や、特定の国を持たずに生き続けることのリアリティーが、遺憾なく発揮されたエッセー集である。近年、日本とその周辺諸国の溝を深めるような報道が増えているが、一方、身近な生活圏に目を移すと、政治的境界を越えて生きている人の数は、ますます増えている。作中「台湾も日本も間違いなくわたしの愛する場所だが、わたしは自分のことを完全な台湾人とも日本人とも思っていない。自分のことは『台湾で生まれて日本で育った一個人』としか認識できない」とあるが、愛する場所とアイデンティティーを切り離して捉えることは、難しいことではないはずだ。
産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。
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