戦国時代というと、信長、秀吉、家康といった権謀術数にたけた英傑たちの名が思い浮かぶが、本書は彼らが流布する雑説(情報)に翻弄され、歴史の陰に消えていった男たちの悲哀を描く、合戦短編集だ。
収録された「上意に候」は秀吉のおいで関白を務めた秀次の晩年を扱った物語だ。幼い頃から人質に出されるなど叔父の野望に利用されてきた秀次。職を辞して己の道を進もうとした矢先、雑説飛び交う権力闘争に巻き込まれ、壮絶な自刃を迎える。
舞台は遠い戦国の世だが、組織の不条理に翻弄される男たちの姿には、どこか現代にも通ずる哀愁がある。著者は歴史小説の旗手、伊東潤さん。短編集でありながら、桶狭間の戦いから大坂の陣まで、一気通貫で戦国の群像ロマンを楽しめる。表題作の「家康謀殺」は家康暗殺をたくらむスパイを探るというミステリー仕立てで、小説ならではの興奮も味わえる1冊だ。
産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。
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