作家の井沢元彦氏が今月5日まで夕刊フジで毎日健筆を振るった「続天皇の日本史」が今月26日、『天皇の日本史Ⅱ』(KADOKAWA・1800円+税)として出版された。井沢氏は「ご譲位とご即位に間に合ったので大変うれしく思います」という。
「令和時代」の幕開けにあたり、改元の意味や皇族がいかに続いてきたかを知るうえで、わかりやすく書かれた本書を読んでいただきたい。
本書はまず「天皇とは何か」から書き起こされている。諸外国のキングやエンペラーとは違い、「天皇」は神の子孫というDNAを継いでいる存在で、力さえあればなれる君主とは一線を画す、唯一無二の存在だ。
そこから初代・神武天皇と第10代崇神天皇との間の「欠史八代」の謎解きという〝逆説史観〟で知られる井沢氏本領発揮の縦横無尽な推理が随所に展開される。初の女性天皇・第33代推古天皇をめぐる陰謀やその後の藤原氏との権力争い、武士の台頭、徳川幕府による天皇家封じ込め、幕末の「大政奉還」と「討幕の密勅」...ダイナミックな歴史の流れの中で天皇家の変遷が描かれている。
夕刊フジで2017年10月~18年3月まで連載した前シリーズは、昨年7月『天皇の日本史』として出版され、「神話と天皇」から書き起こし、第122代明治天皇、第124代昭和天皇で終わった。今シリーズでは、第123代大正天皇、第125代今上天皇まで筆を進めている。
「前シリーズでは今の天皇について書けなかったので、今回書けてよかった。改元が予定されていたので、天皇の諡号(しごう、後に贈られた敬称)と元号との関係、上皇と院政とは何かがよくわかるように書きました、この機会に2冊あわせて読んでいただけると皇族がいかにして続いてきたか、つなぎ目なく良くわかると思います」
こう井沢氏がいうように、1冊目では22人、2冊目は欠史八代をのぞき24人の天皇を取り上げた。この2冊で日本の歴史を理解するのに天皇の存在が欠かせないとよく分かるだろう。ぜひ10連休に読んでもらいたい。
産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。
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