「決定版　脱亜論」渡辺利夫著

「斯（かか）る国人に対して如何（いか）なる約束を結ぶも、背信違約は彼等の持前（もちまえ）にして毫（ごう）も意に介することなし」

これは明治30(1897)年、福澤諭吉が『時事新報』に著した朝鮮人に関する一文である。今日の「慰安婦問題」での韓国の出方を、まるでお見通しであったかのようである。本書は明治維新150年を機に、幕末から明治の終わりまでの東アジアと日本の歩みを振り返り、現代への教訓を得ようという壮大な試みだ。その基底には、「福澤諭吉が現代に蘇ったら、いったい何と言うだろうか」という問いがある。その一例といえるのが、「慰安婦問題」への対応であろう。冒頭の福澤の言葉はこう続く。

「朝鮮人を相手の約束ならば最初より無効のものと覚悟して、事実上に自（みず）から実（じつ）を収むるの外（ほか）なきのみ」

極東有事のいまこそ、かみしめたい。