天才的軍人ナポレオンは、非軍事の面でも才能を発揮した――。そう聞けば「ああ、民法典を編纂(へんさん)したよね」と思う人は少なくないだろう。教科書にも書かれている不朽の事績だ。しかしながらそれはいわば氷山の一角にすぎない。建築物、室内装飾、ファッション、オペラなど、ナポレオンの個人的嗜好(しこう)の影響は広く及んだ。
本書は統治者ナポレオンの卓越した手腕と国内外への影響力を、近現代フランス史の大家がエピソード豊かに描いた格好の読み物である。そこから浮かび上がる「英雄」の実像はきわめて人間くさい。たとえば演劇に関しては「好みでない作品、つまり帝政や皇帝について、たとえやんわりとでも言及しているものは、平然と片っ端から禁じ、不快さを感じさせるセリフは、ためらうことなく削除させた」という。
監修者(フランス文学者の安達正勝氏)による序文と改題も適切で、読者の理解の助けになる。
産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。
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