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『「おもてなし」という残酷社会――過剰・感情労働とどう向き合うか』榎本博明著

  2013年に、20年のオリンピックを東京に招致するため、プレゼンに立った滝川クリステルの「お・も・て・な・し」という言葉が話題になった。それをいまもおぼえている人は多いと思う。それ以降、この「おもてなし」という言葉が日本の良さを表すキーワードのようになった。しかし、行き過ぎた「おもてなし」精神が、現代に働く私たちを心理的・肉体的に追い詰めてはいないか...。
 もともと、私たち日本人は、人と人との「間柄」を配慮しながら生きてきた。だからこそ、接客の場で心地よい「おもてなし」がなされてきたのだ。客との信頼関係を築いてきた場に、欧米の「顧客満足(CS)」といった概念が取り入れられ、従業員は、ますます過剰な「お客さま扱い」を強いられるようになった。そして、客は過剰な接客を当然とみなし、どんどんわがままになっていく――。
 苛酷なストレス社会を生き抜くための対処法を考える。

書名:「おもてなし」という残酷社会――過剰・感情労働とどう向き合うか著者:榎本博明発行:平凡社新書定価:780円+税

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