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「マーメイド クロニクルズ 第1部 神々がダイスを振る刻」財部剣人著

  自然破壊をとめどなく続ける人類。オゾン層は破壊され、紫外線が動植物に悪影響を与え、温暖化も刻々と進む。ここまで地球を危機的状況に追い込んだ人類を神々はどうしたものかと考えあぐね、穏健派と強硬派が対立。人類をいさめる派はマーメイドを、人類を抹殺しようとする派はバンパイアを送りこみ、やがて両者は対決するときを迎えた。
 ジャンル分けするといわゆるSFファンタジー。こう紹介すると敬遠する読者もいるだろう。しかし、それは早計というもの。実に重厚な構成で仕上がっているから見逃せない。それもそのはず、著者は大学の教壇に立つアメリカの大学院で博士号を取得した政治コミュニケーション学者。それだけに、現実社会で繰り広げられる紛争の原因とその根深い因縁が随所にちりばめられ、地政学への造詣をも深めながら物語が楽しめるという二重の仕掛けになっている。斬新な作品といえよう。 

書名:マーメイド クロニクルズ 第1部 神々がダイスを振る刻著者:財部剣人発行:幻冬舎メディアコンサルティング定価:1200円+税

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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