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「天地明察」冲方丁著

丁著
冲方
出版社
角川文庫
夕刊フジの書評から
2012/9/14
　江戸の天文学者・安井算哲の半生に光を当てた冲方丁（うぶかた・とう）氏の人気小説を、「おくりびと」の滝田洋二郎監督が映画化。日本初の暦作りに挑む一途な情熱が胸を打つ。
　江戸時代前期。将軍に囲碁を教える名家に生まれた安井算哲（岡田准一）は、碁よりも算術や星の観察に熱心だった。算術家の妹、えん（宮崎あおい）は、算哲の純朴さにひかれていく。
　当時、朝廷が採用する唐の暦は現実の日時とずれ始めていた。幕府から改暦という大事業を任されていた算哲は、何度も挫折しながら暦作りに挑み続けるが･･･。
　2010年本屋大賞を受賞した原作小説は、江戸時代の算術や天文学の詳細が分かり、読み応えたっぷり。副将軍の水戸光圀や天才棋士の本因坊道策など、脇役の強烈な個性が面白い。算哲は囲碁や算術でトップに立てなかったが、人脈作りに成功した率直な人柄が魅力にあふれている。
　（映画評論家・垣井道弘）

書名：天地明察
著者：冲方丁
出版社：角川文庫
定価：580円

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代～60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」（http://www.zakzak.co.jp/）で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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