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自分の子が「不登校」になったら・・・

登校しぶり・不登校の子に親ができること

 不登校の小中学生は14万人もいるという。本書『登校しぶり・不登校の子に親ができること』(講談社)は、その対応を易しく解説している。監修の下島かほるさんは中学校教諭、特別支援教育士(S.E.N.S)、上級教育カウンセラー、ガイダンスカウンセラー。著書に『不登校Q&A 自信と笑顔を取り戻す 100の処方箋』(編著、くろしお出版)等の関連書がある。

時期を見きわめる

 不登校には「3つの時期」があるという。体調不良を訴えるなど、学校を休む日が増え始める「不登校開始期」、ほとんどを家庭で過ごすようになる、不登校まっただなかの「引きこもり期」、学校や進路のことを気にするような発言や外出も増えてくる「回復期」。

 それぞれの時期によって子どもの状態は違う。不登校対策は、そうした時期を見きわめて働きかけを変えることが必要だという。

 本書は「第1章 まさか、うちの子が!?」「第2章 『休みたい』が増え始めたら」「第3章 不登校まっただなかの過ごし方」「第4章 再登校・進学に向けて」「第5章 親自身の悩みも軽くしていく」の5章構成。時期ごとに、子どもへの言葉がけや接し方をイラスト図解でわかりやすく紹介。さらに学校との関わり方、再登校・進学に向けての注意点、「元の学級・学校に戻る」以外の選択肢などこれからの見通しなども解説する。

 子どもの不登校が長くなると親も失望が強くなり、自分を責めたりするようになりがち。親自身に余裕がないと、ますます子どもに対してうまく対応できない。最終章では、こうした親の悩みも軽くするコツもアドバイスしている。

息子も不登校だった

 下島さんは早稲田大学教育学部英語英文学科卒業。10年間、都立梅ヶ丘病院の院内学級で精神障害や発達障害のある子どもの教育に携わる。その後、通常の中学校に在籍する聴覚障害のある生徒のための学級の担任となり、全国で初めて義務教育の通常の学級でパソコンによる情報保障の支援をおこなってきた。さらに2009年から世田谷区の区立中学校に勤務。不登校の生徒や配慮の必要な生徒の支援にあたっている。

 「まえがき」に、不登校の中学生のための進路指導学級の担任として、10年間にわたり、多くの登校をしぶる、または不登校の子どもや親と関わってきたとあるのは、この中学でのことだろうか。息子さんも一時期学校に行っていなかったというから、不登校は自身の家庭の問題でもあった。本書ではその息子さんに、「きみのことに触れてもいい?」と聞いて快諾を得たと書いている。親は共感を持って同じ目線で読むことができる。

専門家に相談することも必要

 不登校とは、年間30日以上欠席した子どもを言うそうだ。この四半世紀で3倍に増えている。中学では100人に3人ほど。クラスに1人いるのが普通という状態になっている。さらにこうした不登校には当てはまらないが、遅刻や早退が多い子、登校したけど教室には入らず保健室や図書室で過ごす子、授業中に別のことをしている子、などを含めると、潜在的な不登校はさらに増える。最近は「学習障害」「発達障害」「ADHD」「自閉症スペクトラム」など様々なことが言われているので、早めに専門家に相談することも必要だ。

 不登校関連の本では、約10年の不登校ののち、定時制高校から大学に進んで企画会社を運営する小幡和輝さんの『学校は行かなくてもいい ――親子で読みたい「正しい不登校のやり方」』(健康ジャーナル社)、全国から中途退学者や不登校の生徒たちを受け入れることで知られている高校の写真集『いまを、生きる 北星学園余市高等学校』(発行者・山田恵理子)、米国の院内学級にも触れている『車イスの私がアメリカで 医療ソーシャルワーカーになった理由』(幻冬舎)など多種多様なものがある。本書は98ページと薄くてイラスト豊富なので、リラックスして最初に読むにはぴったりと言えるのではないだろうか。

  • 書名 登校しぶり・不登校の子に親ができること
  • 監修・編集・著者名下島かほる 監修
  • 出版社名講談社
  • 出版年月日2019年9月12日
  • 定価本体1400円+税
  • 判型・ページ数B5判・98ページ
  • ISBN9784065171165
 

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