ファッション誌をめくりながら、自分の体型ではこんな着こなしは不可能だし、自信がないからそもそもおしゃれすることに及び腰......と、体型やファッションにモヤモヤを抱える女性は多いだろう。
そうした世の女性の思考回路を180度転換させるのが、元レスリング日本代表・岡田友梨さんの本書『「着やせの神」が教える どんな体型でもやせてキレイにみえるコーデの魔法』(洋泉社)だ。
「無理してやせなくてもOK」「やせ見えコーデの黄金ルール」――。痩せなくていいの? ダイエット本を紹介してきた評者は、自分が変わるのではなく見せ方を変えるという逆転の発想に意表を突かれるとともに、気が楽になった。
著者の岡田友梨さんは、1984年生まれ。滋賀県出身。元レスリング日本代表。筋肉のボリューム対策と着やせに特化した女性用アパレルブランド「KINGLILY(キングリリー)」を取り扱うKINGLILY株式会社の代表兼デザイナー。
また、着やせの情報交換と体型で服に悩む女性たちの居場所・交流に特化したオンラインサロンを運営し、「似合う服がわからない」「合うサイズの服をどこで買えばいいかわからない」といった悩みを抱える服難民への情報提供など、多方面で活動している。
元日本代表のアスリートとファッションコーディネート、という組み合わせが斬新だ。これまでの経緯を要約すると、以下のとおり。
7歳から柔道の強豪少年少女チームに在籍し、小学生の頃は365日ジャージ、中学校も体操服で通していたため、「私の日々に"おしゃれ"は存在していなかった」。生まれて初めて自分で服を買いに行ったユニクロで、自分が特殊な体型だと気づいた。15歳。師匠なし。この時から本格的な着こなしの研究を始め、仮説と検証を繰り返し、自分がおしゃれに見える着こなしの定理をつくっていった。
その間にも表向きは「オリンピックで金メダル」を目指し、ますます体を鍛え、体型はよりたくましく変わっていった。27歳で20年間に及ぶ格闘技人生に幕を下ろし、迷いなく「服の道」を選んだ。
「夢のために体の形が変わるまで努力できる女性は生物としてあまりに美しいではないか。なぜその人たちに合う服が世の中にないのか。アスリートのためのファッションが存在しないなら、私がつくるしかない」
2015年10月に会社を設立し、16年4月にアスリート体型に特化したファッションブランドとして「KINGLILY」は幕を開けた。SNSを通じ、現在は「着やせブランド」として知られている。
本書の特徴として、有志モデルが「女性の"生"の体型をリアルに出しながら『着やせ』を実践」していることが挙げられる。タンクトップとスパッツだけを身につけてカメラの正面に立つ......なかなかできることではない。また、モデルの写真には「背中が強そう」「浮き輪のような腰肉」など、かなり率直なコメントが添えられている。
■Chapter_1 タイプ・悩み部位ごとに解説 体型別のやせ見えコーデ
【基本タイプ編】上半身ボリュームタイプ/下半身ボリュームタイプ/上下ボリュームタイプ/真ん中ボリュームタイプ
【気になる部位編】出っ張るお尻/突き出すお腹 ほか
■Chapter_2 誰でも使える! 目の錯覚着やせテク
羽織でMake縦ライン!!/上下色合わせで"縦"強調! ほか
■Chapter_3 これは持つべき! 着やせテッパンアイテム7
テーパードパンツ、白シャツ、カーディガン ほか
目次には気になるワードが並ぶが、ここでは本書の基本となる「Chapter_1」を紹介しよう。「Chapter_1」は、着やせのための体型分類&気になる部位ごとの着やせテクを紹介している。
着やせの第一歩は「自分の体型を客観的に把握すること」。自分自身を全体像で見たときに、体のどこに主にボリュームがあるのかを鏡の前で探す。基本の4タイプ「上半身ボリュームタイプ」「下半身ボリュームタイプ」「上下ボリュームタイプ」「真ん中ボリュームタイプ」のうち、自分がどのタイプかを見極めよう。
たとえば、張り出すお腹が気になる「上半身ボリュームタイプ」の場合。お腹や腰肉を隠そうと、大きめの服を着て余計に着ぶくれしてしまう......。
その悩みには「トップスで体型偽造&ボトムスは色をつなげて縦比率UP」が正解。具体的には、深いVネックで抜け感をつくる、フードで視線をUPする、靴色を合わせて脚長効果を出すことで、悩みが解消されるという。
巻末の「みんなで着やせ! 着やせの神直伝リアルコーデ」には、岡田さんのオンラインサロンの会員が登場する。「外に出るのも人に会うのも苦痛でなくなった」「私の縮こまった心を救ってもらった」「着やせを知って人生変わりました」など、体型やファッションに深刻な悩みを抱えていた女性たちがイキイキと変化したことがわかる。
岡田さんが体型に悩みを持つ女性たちとつながることになったのは、会社を立ち上げて間もなく、背が低くてガッシリした体型でもスタイルが良く見える着こなしをInstagramで配信したのが始まりだった。
自分だったら何を観たいかを考えた末、「服の中にどれだけ太いものが隠されているのか」がわかるように、とりあえず脱ぐことにした。ごまかしが利かないように、固定角度のカメラの前で脱いで、着て......。自分の体型と正面から向き合い、飾らずに我が道を突き進む姿勢が、岡田さんが共感される所以だろう。
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