読むべき本、見逃していない?

村上春樹さん、ぜひお読みください

  • 書名 うちのしょうちゃん
  • 監修・編集・著者名目黒 雅也 著
  • 出版社名株式会社皓星社
  • 出版年月日2019年6月15日
  • 定価本体1700円+税
  • 判型・ページ数四六判・144ページ
  • ISBN9784774406800

 村上春樹さんの本の表紙を数多く手がけたイラストレーター・作家の安西水丸さん(1942―2014)。幼少期に繰り返し読んだ絵本『ピッキーとポッキー』の絵を描いた方として、評者はお名前を知っていた。

 本書『うちのしょうちゃん』(皓星社)は、安西水丸さんに師事したイラストレーター・絵本画家兼剣道の先生でもある目黒雅也さんの育児絵日記。デジタルイラストが増えるなか、ふっと肩の力が抜ける、手描き感満載のイラスト。目黒さんと安西水丸さんのイラストに、どこか似た雰囲気を感じる。

共働き世帯の育児のリアル

 著者の目黒雅也さんは、1977年東京・西荻窪出身。剣道錬士六段。イラストレーター・絵本画家の傍ら、新渡戸文化学園で教員(剣道指導・生活指導)をしている。日大芸術学部デザイン学科在学中、安西水丸さんに師事。歌人・枡野浩一さんとの共作に絵本『あれたべたい』、児童小説『しらとりくんはてんこうせい』(以上、あかね書房)、絵本『ネコのなまえは』(絵本館)がある。本書が初の単著となる。

 本書は、目黒さんの息子「しょうちゃん」が生まれてから約2年間の日々を、150点以上のオールカラーのイラストとともに綴った育児絵日記。育児日記は母親がつけるものというイメージがあったが、目黒さんは職業柄自宅で過ごす時間が長く、我が子をじっくり観察している。加えて、夫婦共働きという事情もある。

「妻は音楽の教員をしているのだが、勤務地は様々トラブルの多い職場で、妻はそこで部活顧問や学級担任までこなしているうえに、朝は5時過ぎに起きて6時過ぎには駆け足で出て行く。夜は残業で10時を過ぎることもある。無論家事はぼくがやることが増えて、朝夕2回の食事作り、掃除洗濯食器洗い、ゴミ捨て......
保育園送り後にイラストレーションや執筆の仕事、昼前からは小中高生に剣道指導と生活指導をしている学校に出勤、帰宅後は9時の寝かしつけまでやってから雑務や仕事、自由時間というのがぼくの主なタイムテーブルだ。」

 これが共働き世帯の育児のリアルなのか。目黒さんと奥さんの奮闘ぶりが目に浮かぶ。

忍耐力と体力は剣道で培った

 「働く母、大いに悩む 1歳3ヶ月頃」では、母親と過ごす時間が短い息子が、母親を嫌がるようになった話がでてくる。「妻は職場でのストレスも相まってクヨクヨ悩むばかり。ぼくに八つ当たりのように怒りをぶつけることが多くなった」。

 それに対し「『色々なことがごちゃまぜになってキレるのはやめてくれよ!』という気持ちにはなる」と本音を吐露。目黒さんのストレス発散法は、不満や愚痴を保育園の男性保育士に聞いてもらう、飲み歩きや食べ歩き、剣道の稽古という。「忍耐力、体力も含めて剣道をやっていて本当によかった」と、実感のこもった一文が印象的だ。

 本書は共働き世帯の家事・育児の一例として、同じ境遇にいる人にとって大いに参考になるだろう。数々の苦労もありつつ、なによりも我が子への愛おしさがあふれている。最後に、目黒さんが職場へ向かう途中、保育士が息子たちを乗せたカートを押す姿を見かけたときの一文を紹介したい。

「この世に生を受けて間もない幼子にも、私の知らない生活が既にあるということに感動を禁じ得ないのだ。」

 こうした日々の小さな発見や喜びを感じることが、育児の原動力になる。

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