本書『母ハハハ!』(株式会社パルコ エンタテインメント事業部)は、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人「夫婦のじかん 大貫さん」が、自身の結婚、妊娠、出産、育児体験を面白おかしく綴ったコミックエッセイ。
大貫さんは、1981年栃木県鹿沼市生まれ。「大貫ミキエ」名義でイラストレーター、漫画家としても活動している。本書は、大貫さんのInstagramに投稿された漫画を大幅に修正し、描き下ろしを加えたもの。
大貫さんと夫の山西章博さん(元・トンファー)は、付き合って10年で結婚。それぞれのコンビが解散したことから、夫婦でコンビを組むことになった。本書は「結婚編」「2人暮らし編」「妊娠編」「出産・育児編」の4章で構成され、基本的に1ページ2本の4コマ漫画が収録されている。
・「結婚編」...家賃2万円風呂無しトイレ共同の超絶ボロ屋での貧乏同棲生活から、結婚に至るまで。
・「2人暮らし編」...2人だった頃の日常生活、芸人仲間との交流。
・「妊娠編」...「つわり地獄」に悩まされながらの不安と希望に満ちたマタニティライフ。
・「出産・育児編」...壮絶すぎる出産、いよいよ始まったドタバタな育児。
登場人物は以下の3名。
・「私」...芸人のかたわら、イラストレーターとして家計を支える。料理下手、味音痴、漫画・アニメ・ゲームオタク。
・「旦那」...芸人のかたわら、主夫として家事全般を担う。よしもとブサイクランキング3位に輝いた。
・「息子」...2018年3月生まれ。食欲旺盛。月齢の割に体が大きい。
ここで1つ、大貫さんが陣痛に悶絶するエピソードを紹介したい。
「階段から落ちてコンクリートに叩きつけられたり
歯の神経むき出しで半年間過ごしたり
正直私は 自分は痛みに強いと自負していたところがありました...
断言します
ぶっちぎりで人生ダントツ1位の痛みでした!!
腰を金属のハンマーで全力で叩かれているような
腰の骨に100人くらいのおっさんが一気にぶら下がってくるような」
出産経験者にとっては、あの壮絶な痛みをよくここまで代弁してくれた...と言いたくなるし、これから出産を経験する人にとっては、陣痛をこの上なくイメージトレーニングできる表現が並ぶ。
大貫さんは本書の最後をこう締めくくっている。
「育児の合間の息抜きに読んでもらいながら、もしも育児に疲れたときには、あんなバカな人いたな~と思い出していただけたらこの上なく幸せです。結婚しない人生、子供をもたない人生、今はたくさんの選択肢がありますが、いろんな人の心に少しでも明るさをもたらせたらと思います」
本書は「母」としての日々のあれこれを「ハハハ!」と快活な笑いに結びつけている。母親業をしているとつい、眉間にしわを寄せたり頭に血が上ったりすることは日常茶飯事だが、ふっと力を抜いて、母親業を楽しもうと思える1冊となっている。
大貫さんは「ただただ私の平凡な生活を記録したもの」と書いているが、「平凡な生活」にあるささいな出来事を巧みに切り取り、笑えるツボ満載の作品に仕上げている。芸人の感性とイラストレーターの画力を兼ね備えた大貫さんゆえになせる業と感じた。大貫さんの息子さんは現在1歳。これからも続いていく成長の過程を、大貫さんの視点で描いて、楽しませてほしい。
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