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「残酷な天使のテーゼ」作詞家が、生きづらさを解消!

誰かが私をきらいでも

 高橋洋子さんが歌う「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」。1995年の発売以来根強い人気があり、2011年にはその前年度におけるJASRACの著作物使用料の分配額が多かった作品に贈られるJASRAC賞金賞を受賞した。エヴァンゲリオンは知らないが歌は知っている、という方も多いのではないか。

 その作詞者として知られる及川眠子(おいかわねこ)さんの新刊が本書『誰かが私をきらいでも』(ベストセラーズ)。「及川さんは『てめえでケツが拭けるなら、どう生きたって自由』のお手本!」という帯の紹介文が強烈だ。

 本書は、「第一章 『人生』が楽になる大事なお話」「第二章 『恋愛』で疲れたときの大事なお話」「第三章 『仕事とお金』で失敗しない大事なお話」「第四章 インスタ映えしない人生。だから楽しい」(第四章は、中村うさぎさんとの対談)から成り、生きづらさを抱えている人が少しでも楽に感じられるような、及川さんの人生観とエールが詰まっている。

「ガラスのように繊細で、ナイフのように尖っていた少女は、時が経つうちに、生きにくいも生きやすいもクソもねえ、とにかく自分を生きていくだけなんだよと腹をくくったおばさんに進化した。...そして、ふと立ち止まって考えたあるときに、そのしんどさはたぶん『人にきらわれるのが怖い』という気持ちから来ているのではないかと気づいた」

 及川さんが書いているのは、きらわれないための処世術ではない。むしろ「きらわれても生きていける処世術」だ。及川さんは「きらわれる」ことをこう捉える。

「もし誰にもきらわれない人がいるなら、それはみんなに好かれているということではなくて『興味を持たれていない』ことなんじゃないだろうか。...人生は決して楽ばかりではない。だけど言い換えれば、そのしんどさ自体が生きている証拠でもある。...おばさんになった私は、そう実感している」

 元夫に3億円を貢いだ挙句に裏切られたり、知り合いの作曲家に「同世代の女の作詞家みんなにきらわれてるよ」と言われたり、相当タフでないと乗り越えられない出来事を、及川さんはどんなふうに受け止めて、感情を処理しているのか。

 作詞家という職業から、詩的な言葉で綴られているのかと想像したが、率直で飾らない言葉が並ぶ。ちょっとキツイ言い方に感じるところもあるかもしれないが、及川さんにバシッと背中を押されると、目の前にある悩みが吹っ飛ぶ気がする。

 及川さんは1960年生まれ、和歌山県出身。85年に三菱ミニカ・マスコットソング・コンテスト最優秀賞作品、和田加奈子「パッシング・スルー」でデビュー。Wink「愛が止まらない-Turn It Into Love-」「淋しい熱帯魚」、やしきたかじん「東京」などヒット曲多数。作詞家の活動とともに、ミュージカルの作詞・訳詞、舞台の構成、CMソング、アーティストのプロデュース、エッセイやコラムなどの執筆、講演活動なども行う。著書に『破婚~18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間』(新潮社)、『ネコの手も貸したい~及川眠子流作詞術』(リットーミュージック)などがある。

BOOKウォッチ編集部 Yukako)
  • 書名 誰かが私をきらいでも
  • 監修・編集・著者名及川 眠子 著
  • 出版社名株式会社ベストセラーズ
  • 出版年月日2019年1月25日
  • 定価本体1400円+税
  • 判型・ページ数四六判・192ページ
  • ISBN9784584138984
 

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