読むべき本、見逃していない?

「安い」だけじゃない、ニトリ成功の秘密

リーダーが育つ55の智慧

 日本経済新聞の朝刊最終面の名物連載「私の履歴書」に登場するのが、日本で功成り名を挙げた人の夢と言われているが、「こんな『私の履歴書』見たことない!」と話題になったのが、ニトリホールディングス創業者で会長の似鳥昭雄さんの連載だった。

 戦後の引揚者住宅での極貧生活や学生時代のカンニング未遂、家出など成功者であれば普通伏せておきたい負のエピソードも盛り込み、波瀾万丈の一代記に仕立てたのであった。この連載に大幅加筆したのが『運は創るもの』(日本経済新聞社)だったが、本書『リーダーが育つ55の智慧』(株式会社KADOKAWA)は、似鳥さんが人材育成に絞って、その哲学と方法論を披露したもので、異色のビジネス書となっている。

 1967年に札幌で開業した似鳥家具店に始まったニトリホールディングスは、50年後の2017年には500店舗を突破、18年2月期で31期連続の増収増益を達成している。

 本書には新入社員から経営者まで幅広い層に通用するノウハウが書かれているが、最も興味深いのは急速な拡大を支えた組織づくりだろう。それに触れた第3章の目次はこうだ。

 ・会社は1%で動く ・学歴は気にしない ・最良の教育は「配転教育」 ・教育投資は分け隔てする ・20代は身体で覚え、30代は過去を否定し、40代で新しいものを創る

 この中の「配転教育」とは、比較的短期間で数多くの異なる部署に異動させる同社特有の人材育成システムのことだ。社員の隠れた長所を発見できるのがメリットで、さらに商品の企画から素材の手配、製造、物流、店舗販売、商社機能と幅広い事業領域を展開する同社にとってなんでも出来る人材が多数いることが欠かせないのだ。

 通関士、一級建築士、公認会計士などのプロフェッショナルを社員として抱える「多数精鋭」主義も特徴だ。手間のかかるやっかいなことはすべて社内でやるというのが同社の仕事の進め方だという。

 いま本腰を入れているのが中国への出店だ。17年で24店舗だが、これを500店舗まで増やし、22年には国内、海外合わせて1000店舗体制を確立し、売上高1兆円を目指す計画だという。こうした長期間かかる高い目標を1週単位の「ウィークリーマネージメント」で短期間の目標に落とし込み実現する素早さが同社の真骨頂だ。

 自ら「出来損ない」と語る似鳥さんだが、「日本人の住まいにもアメリカのような豊かさを広げたい」という創業期のロマンが成長の原動力になったという。高度成長期には、多くの成功物語があったが、いまそんな会社も経営者もめったにお目にかかれない。似鳥さんの言行に注目が集まるのは、その破天荒さが「閉塞の時代」に新しい風を吹き込んでいるからだろう。

  • 書名 リーダーが育つ55の智慧
  • 監修・編集・著者名似鳥昭雄 著
  • 出版社名株式会社KADOKAWA
  • 出版年月日2018年4月 7日
  • 定価本体926円+税
  • 判型・ページ数四六判・245ページ
  • ISBN9784041067321

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