3月に入って各地ともそれぞれに春らしい日が多くなり、健康面では花粉症がクローズアップされ、風邪やインフルエンザはすっかり後退期に入ったよう。ところが陽気に油断して、昼夜の気温差などから春に風邪を引く人は多いという。
インフル流行期でもあり風邪に見舞われる危険がいっぱいの冬季ばかりか1年中風邪対策を怠らないのが一流への道として、その案内役をうたうのが本書『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?』(裴英洙著、ダイヤモンド社)。著者は医師であり、病院経営を考えるため経営学修士(MBA)を取得し医療機関の経営コンサルティングなどを行う会社の社長を務めている。
一流の人でも風邪を引くことはある。著者によると、人間は一生のうちに平均で200回風邪を引き、そのトータルで、ほぼ1年間に相当する時間を寝込んで過ごすという。これを少しでも減らして生産性をあげるようにすれば、一流への道も開けるというわけだ。
風邪は「症状のピークから回復までは3日ほど」であり、いったんかかると治るまでは3日間の安静が必要だ。著者によると、オフィスなどでしばしば聞かれる「人にうつしたから治った」などということはあり得ず、この「3日間」にたまたま接触があって、それが錯覚されただけという。それはともかく、風邪を引けば、このように即回復は望めないのに加え、「風邪の治し方」は、医者泣かせの課題。というのも「最先端医学でも明確な原因のメカニズムは解明されておらず、風邪には根治療法は特効薬がいまだに存在しない」からだ。
人によっては、風邪など恐れることなし、抗生物質という強い見方がいる―などと強がりを言うかもしれない。著者はこんな主張をバッサリ切り捨てる。風邪薬は、処方薬、市販薬ともども服用の時期や量をまもってこそ効果があるもので「抗生剤を風邪の特効薬と思っている人がいるが、非常に危険な考え方」。しかもその効果というのは根治ではなく、症状の緩和に限定的なものという。
抗生剤信者にさらにショックなのは、ほとんどの風邪に抗生物質は効かないという指摘。風邪の原因の8割以上はウイルスによるものなのだが、抗生剤は細菌を殺す効果はあっても、ウイルスには歯が立たないのだという。薬は前に触れたように、用法、用量を守ってこそのもの。ウイルス性の風邪ならば自らの免疫力で治るものだが、目的違いで服用した抗生剤が毒になる可能性もあるという。
いざというときに頼りになるものがないとなれば、やはり予防に努めるしか手はない。マスクの着用、手洗い、うがい、アルコール消毒など、本書でもこれまでに繰り返し推奨されている予防法に触れているが、いずれも従来のアドバイスより掘り下げられている。たとえば「手洗い」では「ウイルスを撃退する『手洗いテク』」を紹介しているほか、風邪リスク半減させる手洗い法をクローズアップ。公共トイレなどに備えられている手を温風で乾かすドライヤータイプの器具についての知られざるリスクなどにも触れている。
出張が多いビジネスマンで、一流を目指している人なら「新幹線と飛行機は『一番後ろの席』を選べ」は必読かも。人が多い場所では風邪リスク高くなるものだが、航空機内ではなんと「日常生活の『113倍』風邪を引きやすい」という。
これから年度替わりを機に新生活を始める人も多いだろう。環境の変化による緊張のスキに風邪に襲われることもありがち。本書には初期症状で食い止め悪化させない方法についてもさまざまな情報が提供されている。
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