1980年代後半から1990年代初めにかけて社会人となった「バブル入社組」も50歳を超え、会社内で岐路に立たされている。どの企業も空前の大量採用をした世代だ。本書『バブル入社組の憂鬱』によると、ある大手都市銀行は1989年の入行組が1700人と地方銀行まるまる一行分の採用をしたという。やがてバブルの崩壊とともに、採用は極端に絞られ、就職氷河期と呼ばれる時代が続いた。
採用時から「あんなにたくさん採用して大丈夫か?」と疑問視されていた「バブル入社組」だが、案の定、企業にとって座視できない問題になってきたのだ。
著者の人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏は、週刊東洋経済(2018年1月13日号)のインタビューで「年次の最上位に元気のない人が大量にいるのは企業としても思いのほか大きな問題だ。ただ、今は本格化前の段階で、チームに高度なマネジメントが要請されているものの、バブル世代の一つ下の氷河期世代が優秀だから何とかやっていけている」と話している。
「バブル世代が部長、氷河期世代が課長となったころから関係性が悪くなった」「バブル入社組の評判を落としている張本人は氷河期世代なのだ」とも。
相原氏は「バブル入社組」の特徴として次の4点を挙げる。コミュニケーション能力が高い、「根拠なき自信」がある、会社への依存心が強い、見栄を張りたがる。これらは弱みになるのか、強みになるのか、本人の「気のもちよう」で変わるというのだが。
人生のピークは入社後の数年だけで、あとは景気の低迷、人事制度の改定などで良いことはなく「会社に裏切られた」と思っている人も多いという。役職定年で無役職や部下のいない専門職が当たり前となり、60歳から再雇用され65歳定年としてもあと10~15年をどう過ごすのか。しかも数が多いのだ。彼らのモチベーションを維持するのは正直難しいと思うが、企業労務の大きな課題と言えよう。
若いころは上司の団塊の世代から「使えない」と言われ、中高年になっては下の氷河期世代から「使えない」と言われる。悲しい世代かもしれない。(BOOKウォッチ編集部)
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