孔子、荘子、曹操、陶淵明ら中国の先哲、文人らが生と死についてどう考え、向き合ったか。60余りの名言を中国文学者の川合康三さん(京都大学名誉教授)がピックアップして解説した本だ。
名言のひとつを書き下し文で引用してみよう。
酒に対して当(まさ)に歌うべし 人生幾何(いくばく)ぞ 譬(たと)えば朝露の如し 去りし日は苦(はなは)だ多し
三国志の英雄、曹操は、無常を飲酒で忘れようと歌っているのだ。
これに限らず、死よりも生を肯定するポジティブなものが多い。川合さんは「人生や人間を肯定し、限りある生を生きてゆこうとする意志がうたわれています。そこが日本の文学と異なる、中国の文学らしい特質ではないかと考えられます」と書いている。
孔子は「生もわからないのに、死がわかるはずがない」という名言を残している。また詩人陶淵明は「男子たるもの、世の中全体に大きな志をもつものだが、わたしは孔子が言ったように『老いが迫るのも気付かない』ようでありたい」と詩の中に願望を表している。
週刊現代(12月2日号)の書評でノンフィクション作家の高橋秀実さんは「人生は憂えるものではなく楽しむもの。懸命に生きて老いを忘れるべし、という教え。下手の考え休むに似たり。『死』は仙人ならぬヒマ人の妄語だと教えられた気がした」と記す。
やたらと「死」をめぐる言説や本があふれている現代の日本。そんな風潮に辟易しているあなた、中国古典の知恵に学び、今をよく生きようではありませんか。
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