2016年に重力波が発見されたという発表が世界に伝わった。ちょうどアインシュタインが100年前に存在を予言しながら、その実在が疑われたり、うまく観測できなかったりしたものだった。存在を確認したのは長さ4キロのパイプの中をレーザー光線が走るアメリカの巨大観測装置を持つ研究チームで、メンバーは世界各地の1000人にも及ぶという一大プロジェクトだった。
光、電波、赤外線、X線など電磁波を使い、天文学は発達してきたが、重力波はまったく別の波で、これにより天文学は新しい地平が開かれると期待されている。
本書は、朝日新聞で長く科学記者を務めてきた著者の集大成ともいえる本だ。アリストテレス、ニュートン、アインシュタインと人類が宇宙や時間をどうとらえてきたかをじっくり解説しつつ、重力波発見の意義を解き明かしている。
日本の科学者たちの重力波発見にかける苦闘の歴史も詳述されている。朝日新聞の書評(2017年11月19日付)でサンキュータツオさん(学者芸人)は「日本では日陰者扱いだった『重力波』研究の学者らの魂の継承史も必読である」と記している。
日本の研究者たちは先を越されたが、神岡の巨大実験装置KAGRAもやがて重力波研究の一端を担うことになっているという。国境を越えて協力し合う科学者たちの姿に、人類の新たな希望を見出した。
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