ドイツ文学者にして滋味深いエッセイの書き手である池内紀さんは、50代なかばの1996年に東大を定年前に退官した。以後ますます出版のペースはあがり、『フランツ・カフカ小説全集』で日本翻訳文化賞を受賞するなど、旺盛な筆力は衰えていない。しかし、ご本人は70歳になった2010年に「すごいトシヨリBOOK」というノートをつけはじめ、老いていく自分を記録し始めた。それをもとに、あれこれ綴ったのが本書である。
いくつか、参考になりそうな名言(教訓?)がある。
・記憶が脱落するのは一種の強み
・群れるのをやめて自立する
・年を取ったら赤いものを、なるだけ赤い明るいものを着ましょう
・自分の居酒屋、蕎麦屋を持つ
・治らない病気は直そうとしない
・血液検査以外は、病院で検査を受けない
・お金を使わないで暮らす技術(OTKJ)を工夫する
・いっぺんに眠ろうとしないで、朝、昼、夕方など、分けて眠るのもよい
後半は旅好きな著者らしい旅のアドバイスも。
たとえば、旅程は1日増やす、他人任せにしない、ストックを用意する、欲張らない、お土産は買わない、記録をつくる。
人生の楽しみは「70歳からの下り坂にある」という著者の意見が高齢者の共感を呼んだのか、1万8000部と売れている。17万部のベストセラーになっている五木寛之さんの『孤独のすすめ 人生後半の生き方』(中公新書ラクレ)が高齢者へのメッセージ集だとしたら、こちらは高齢者へのアドバイス集か。自作の「老化早見表」も付いている。
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