読むべき本、見逃していない?

老親の「Xデー」が来る前に

仕事を辞めずに介護する

 介護を理由に離職する--「介護離職」が問題になっている。厚生労働省の就業構造基本調査によると、年間約10万人もいるという。

 老親に介護が必要になり、仕事との両立が難しくなったときどうするか。本書『仕事を辞めずに介護する』は、そのノウハウを細かく丁寧に教えてくれる。

「有用な情報」をまとめる

 著者のおちとよこさんは、介護や医療などについて多数の著作があるジャーナリスト。父親は退職後にすぐに病気になり、その介護を担っていた母も脳梗塞で倒れて入院。両親の介護が一人っ子のおちさんにのしかかかる。 「もう無理、仕事を辞めるしかない」と何度も追い詰められたが、「情報」に助けられた。

 その「情報」とは、利用できる福祉制度、補助や給付、介護保険サービスなどについての豊富な知識だ。両親を看取るまでの16年間、そうした様々な情報を活用し、友人やご近所の助けも借りて働き続けた。本書は自らの介護体験と、講演などで寄せられた数多くの質問や悩みなどをもとに、どうすれば働きながら介護を続けられるか、介護未経験者にもわかりやすいように「有用な情報」をまとめたものだ。

ヒラよりも管理職にとって切実

 介護の問題が身近になるのはおおむね40歳を過ぎてからだ。「働きながらの介護をしている」と言う人は、20代、30代では1~2パーセントだが、40代になると5%を超え、50代では14%台まで跳ね上がる。会社の中でも、ヒラよりも管理職にとって切実だ。

 著者はくりかえし、「Xデー」が来る前の「情報収集」の大切さ強調する。中でも重視するのが、「地域包括支援センター」だ。およそ中学校の校区ごとに1か所、全国に約7千か所ある「高齢者問題のよろす相談窓口」。住んでいる市町村の介護保険担当窓口に電話をかけて親の住所を伝えれば、すぐに担当の包括が分かる。親に介護が必要になりそうなとき、まず相談して、予め介護保険システムのキーパースン=「感じのいいケアマネージャー」を探しておく。このあたりは、介護経験者ならだれもがうなずくはずだ。

 このほか、これ以上詳しくは書けないのではないかと言うほど、微に入り細に入り、介護の不安と解決法について記されている。様々なチェックリストも用意されている。これから介護に直面するかもしれない人たちにとって、極めて実用的な一冊となっている。

  • 書名 仕事を辞めずに介護する
  • サブタイトル一人でもだいじょうぶ
  • 監修・編集・著者名おち とよこ 著
  • 出版社名日本評論社
  • 出版年月日2017年9月15日
  • 定価本体1400円+税
  • 判型・ページ数四六判・178ページ
  • ISBN9784535587120

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