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「預金通帳が見つからない」が始まりだった・・・

書評掲載元:週刊文春 10月5日号 著者インタビュー

母さん、ごめん。

 

 介護の体験記や介護をテーマにした小説はいろいろあるが、独身の50男の体験記となると珍しいのでは。しかも著者の松浦晋也さんは科学技術が専門のフリーライター。パニックになりながらも、どこか客観的に自分を見つめているところがある。

 

 ある日、同居する母親が「預金通帳が見つからない」と言い出したのが始まりだった。それからは年金を引き落としたのを忘れたり、通販にはまり余計なものを買ったり、それを忘れたり......。そして認知症になったことを認めず、松浦さんと言い争う。

 

 「介護者の体感としては一定の期間が過ぎるとガクンと悪化します。そのガクンとくる期間を一章分として、各章で自分の体験、医療についてや、役立った情報などをかたまりとして入れるように意識しました」と話す。

 

 親と離れてくらす50代、60代の男性は少なくない。独身、既婚を問わず、老親の衰えは気になるものだ。出来るだけ間隔をおかずに様子を見に行くことが肝要なようだ。

 

 著者はフリーライターゆえに、介護の体験そのものがネタになり、収入につながったが、こう警告する。「介護を家族間にと主張する政治家もいますが、実際に介護のために家庭に入れば、その人の収入は途絶えます。日本のGDPもまた、それだけシュリンクしていく。将来的にみると現実的ではないですね」

 

 最後は母親を施設に入れるが、ペーソスあり、実用情報ありの異色の介護体験記だ。

  • 書名 母さん、ごめん。
  • サブタイトル50代独身男の介護奮闘記
  • 監修・編集・著者名松浦晋也 著
  • 出版社名日経BP社
  • 出版年月日2017年8月 7日
  • 定価本体1300円+税
  • 判型・ページ数四六判・272ページ
  • ISBN9784822259457
 

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