宮城県北東部の南三陸町は、2011年3月11日の東日本大震災の津波で大きな被害受けた。鉄骨だけが残された町の防災対策庁舎は、津波を次世代に伝える「震災遺構」として保存しようという動きもあるが、反対の声も強く、結論は出ていない。
本書は、震災の日に同庁舎に避難し生還した人たち一人ひとりにインタビューして、それぞれの「3.11」をめぐる思いをまとめた。
著者の山村武彦さんは、防災・危機管理の専門家。自治体や企業の防災アドバイザーを務める一方、世界各国の被災地の調査におもむき、その数は250か所を超えるという。南三陸町など宮城、岩手の三陸海岸にある自治体では震災前から講演を行うなどして防災のアドバイスを送っていた。
著者は、助かった人たちとのインタビューを通して被害想定の考え方に課題があったことを突き止めたという。本書では、その被害想定の課題を列挙。また、南三陸町での被災から得られた教訓を生かした「津波防災10か条」を添えている。
防災対策庁舎は17年2月、現状保存を目指して県が実施した工事が終了。震災直後の色に近い赤色で塗装され、折れ曲がった鉄骨も固定された。庁舎は震災から20年目となる2031年3月10日まで県が維持・管理しながら、保存か解体かの議論が続けられる。
著者は「もし住民のコンセンサスが得られるのであれば地域の防災遺構とともに世界遺産として遺してほしい」と望んでいる。
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