単行本が発行されたのは約20年前の7月。スプラッター映画的な描写がはさまれ、そこで思わず本を閉じたくなるようなゾクゾク感がめぐる。夏の読書にふさわしいといえる一冊。1998年に日本推理作家協会賞。2004年には米文学賞の「エドガー賞長編賞」に日本人による作品として初めてノミネートされた。映画化、テレビドラマ化もされるなど"お墨付き"の面白さは褪せることがない。
物語の主な舞台は東京郊外の弁当工場。時給が割増になる深夜のシフトでパート勤務する主婦ら4人の女性はそれぞれに悩みを抱え、それらが複雑に絡み合いながらストーリーは進む。
4人は直面する現状からの脱出を考えていた。リストラされた夫とのよそよそしい生活、認知症の姑の世話、カード破産...。そして、一番若い一人が、夫のDVに悩まされた末、ついに夫を殺してしまう。他の3人は、死体をバラバラにするのを手伝うのだが、それは、友情などからではなく、"現状脱出"の手がかりしようと考えたから。
殺人、死体損壊を隠すための行動は負の連鎖となっていく...。
人物や人間関係の描写の説得力があり、4人ついてはもちろんそうなのだが、それ以外でも、登場人物の関係性が、現実にそんなことある?と思うほど複雑であるにもかかわらず、非常にリアルで臨場感豊かだ。
久しぶりの再読にも、著者の世界観を初体験したい人にとっても、猛暑の夏がおすすめ。
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