会話術の本は、世の中にあふれているけれども、話しかけなくていいといっている本は、まずお目にかかれないと思います。それでは会話が始まりませんから。しかし、著者の木村さんはこういいます。相手があなたに話しかけたくなるように仕向ければいいのだと。話しかけられたら、もう、しめたものです。
では、話しかけられるようになるための秘策をいくつか伝授しましょう。まず基本は、“5S”。人が思わず話しかけたくなるのは、スマイル(Smile=笑顔)、サイト(sight=視線)、サイン(sign=合図)、サルート(salute=会釈)、スキンシップ(skinship=接触)がある人です。いずれもノンバーバル(非言語)コミュニケーションですね。この5つのSがある人は威圧感がなく、親近感を与えられるため、必然的に話しかけられる機会が多くなります。
次にちょっとゆるいものを。アゴを指1本分アップします。なぜか。うつむき加減の人と、顔を上げている人では、どちらと話をしたくなるでしょうか。もちろん顔を上げている人ですよね。明るく元気な印象を相手に与えます。また飲み会やパーティなどでは、部屋や会場のセンターにいることをお薦めします。真ん中は周囲を見渡しやすく、視界良好。自分が「見える」ということは、同時に周囲から「見られる」ということであり、話しかけられるチャンスがそれだけ広がります。一方でこんな技もあります。話したい人の半径1m、右斜め45度に位置します。この位置の心理的な関係性は、“関心”や“発見”です。つまり「話しかけて相手を知ろう」「こういう人なのかな」などと相手のことが気になりやすくなるのです。
話が始まった後のテクニックも披露しています。あいづちの打ち方であなたの印象はだいぶ変わりますよ。リアクションは重要です。「それで?」「続きは?」で相手の話は加速します。面白い現象としては、主語と述語を消すと、なぜか距離が縮まるというものもあります。
とにかくこの本、なるほどなと思わせる、些細だけれども、重要な会話の円滑剤になるようなリアクションや言葉を多数紹介しています。相手に好印象をもってもらうために、そして楽しい会話が成立させるためにぜひ役立ててください。
書名:話かけなくていい!会話術著者:木村隆志発売日:2016/1/21定価:本体1400円(税別)