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小説を読むようにハラハラドキドキしながら、カウンセリングの初歩が学べる!

 イギリス児童書の古典『たのしい川べ』を皆さんはご存知ですか? ヒキガエル御殿に住むやんちゃで利己的なヒキガエル君、その友だちの世間知らずのモグラ君や、お節介焼きのネズミ君、いざというとき頼りになるアナグマ君らが巻き起こす、めくるめく冒険譚です。本書はその後日譚の体裁をとります。なぜか憂鬱で気力の湧かないヒキガエル君が、ネズミ君やモグラ君の助けをかりて、アオサギさんのカウンセリングを受けるところから物語は始まります。

あのパーティ好きの陽気なヒキガエル君にいったい何が起きたのか。原因を探って、カウンセリングは、まず幼少のころに遡り、自分を見つめ直します。そして、往々にしてその原因が自分の不幸を他人のせいにしているところにあるということがわかってきます。

カウンセラーのアオサギさんは、ヒキガエル君に「あなたはいま重大な岐路に立たされている」と伝えます。ヒキガエル君は反発します。「あなたはぼくに自分を責めさせたいんだ。だけど、そうはいくものか」。アオサギさんはたしなめます。「責めるのは、"子どもの自我状態"にある人がすることです。"成人の状態"にある人からはどんな反応が返ってくるでしょうね」。ヒキガエル君は、自己発見のもう一歩が踏み出せないでいました。

カウンセリングは続きます。熱心に身を乗り出して、自分の話を聞いてくれるアオサギさんにヒキガエル君は次第に心を開いていきます。過去の赤い車を盗んで暴走した事件や、そのために牢につながれていたこと、そこから脱走したこと、ヒキガエル君は過去を語ることで、自分の人生を総ざらいし、長年にわたって、多くの人や出来事から受けた影響が、わが身に反映されていることに気づきました。

ヒキガエル君は、生まれ変わります。アオサギさんのカウンセリングのおかげです。生まれ変わったヒキガエル君は、皆の前で自分の将来について気宇壮大な宣言をします。どんな宣言かは、本を読んでのお楽しみです。

どうですか。小説を読むようにストーリーを楽しみながら、カウンセリングの初歩がわかります。『たのしい川べ』もセットで読むと、さらに面白さ倍増です。

 
 
 
 
 

書名:ヒキガエル君、カウンセリングを受けたまえ。
著者:ロバート・デ・ボード
訳者:水野 恵
発売日:2014/8/29
定価:本体1500円(税別)

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