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政局激動の秋! 苛立つ「民意」はどこに向かうのか? 精神科医・香山リカ、渾身の新作!『「独裁」入門』

<INTRODUCTION>
  本書では、バブル崩壊以降、日本で暮らす私たちがどんな心理状態に置かれているか、が語られる。精神科医の目から見ると、その心理状態は総体としては決して「完全に健康」な状態ではない。強い不安や葛藤を抱えた人々は心の安定を保つために知らず知らずのうちにさまざまな「心的防衛メカニズム」を作動させ、その結果、すべてをはっきりさせてくれそうな「独裁型リーダー」を待望するという。
  歴史の教訓に学び、愚を繰り返さないために今、我々が知っておくべきことは何なのか?
時代の転換期に生きるすべての人々に読んで欲しい、警世の1冊です。

<CONTENTS>
 著者は教鞭をとる大学で毎年、新入生に「いま何にでもなれるとしたら、何がよいか?」と聞く。ここ数年、学生たちの回答の不動の1位は「ネコ」である。生活やおカネや人間関係に追われ、つらさを抱えながら生きるいまの生活から抜け出せるなら、それと引き換えに「主体性の放棄」や「寿命の短縮」を受け入れてもかまわない、ということなのだろうか。そして最近、著者の診察室を訪ねる初診患者の9割は、漠然とした不安感とイライラを訴える……。
 経済大国の地位を失い、震災・原発事故に見舞われ、近隣諸国との摩擦も激化する今、将来への展望を失った国家を、不信と苛立ちに満ちた「民意」が覆っている。
 不寛容な大学生、言葉の真意によらず過剰反応するツイッターの世界、想像力の欠如したメディア報道など、様々な場面から日本の現状を考察。苛立つ「民意」をすくい取る嗅覚に優れた独裁型ヒーローの誕生に警鐘を鳴らす、今こそ必読の書。

--葛藤から目を背け、想像力も放棄して誰かに重要な決定を「白紙委任」してしまったり、刺激的な「二者択一の選択肢」だけの提示を要求し続けたりした結果、ナチスの虐殺や福島原発事故のような結果がもたらされた、とするのはあまりに極端な意見かもしれない。
 しかし、前者は歴史が証明していることであり、後者はいま実際に日本で起きているできごとなのである。(本文より)

●目次より●
はじめに――ツイッターのアカウントとしての「独裁者」

第一章「ふわっとした民意」
「いまの日本」は「かつての日本」とは違う/「よくない現実」に向き合う切り札国際地位が暴落した国/理性的すぎた「鳩山演説」/「躁的防衛」は長続きしない

第二章 独裁待望の背景にある心理
「ずるい」という批判/増殖する「怒りを抱く人たち」/独裁者の条件/「不安」がもたらす絶望/日本社会全体が「トレマ期」/拡散する「誤読」/短絡的な理解

第三章「独裁型ヒーロー」の手法 
突然始まった「御用学者」批判/過激化するツイッター/日本でもっとも注目される政治家/「バカ」という明快な表現/伸るか反るか/二者択一を好む心理/市場万能主義に基づく「世界理解」/対案を出せ/〝大きな物語〟を語るのは誰か/すべてテレビカメラの前で/反・密室政治という説明/政治はリアリティー・ショー文化の定義/小泉純一郎と橋下徹の違い/科学的管理法による行政運営/手詰まりな時代の「一本のものさし」/早急なリセットを/二者択一の快感に気づいた有権者/イメージに包まれた「虚と実」/進化したポピュリズム

第四章 ハシズムを超えて
フロイトも注目した「スプリッティング」/思考停止の世界/精神医学界に走った衝撃/退廃芸術にされたアウトサイダーアート/過ちを認めさせない「村的体質」「白紙委任」が招く悲劇
おわりに――

<PROFILE>
香山リカ(かやま りか)
1960年生まれ、北海道出身。東京医科大学卒業。精神科医。
立教大学現代心理学部教授。著書に『「だまし」に負けない心理学』
『しなやかに生きるって、どんなこと?』『「看取り」の作法』
『しがみつかない生き方』『気にしない技術』『言葉のチカラ』ほか。

http://shinsho.shueisha.co.jp/

書名:『「独裁」入門』
著者:香山リカ
発売日:2012年10月17日
定価:735円(税込)

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